世界のすべての七月
世界のすべての七月 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
1969年、アームストロング船長は月面に最初の1歩をしるした。その一方でアメリカは、ヴェトナムで不毛の闘いを続けていた。そんな年のミネアポリス(ミネソタ州)のダートン・ホール大学(架空のものだと思われる)の卒業生が30年ぶりの同窓会に集う。この30年間に彼らが得たものや、勝ち得た成功もけっして小さくはないのだが、すべての男女に、なにがしかの喪失感がつきまとう。53歳という年齢は、もはや不可能ではないものの、全き再出発は、もはや無理であろうから。この作品に巡り合えたのは、ひとえに村上春樹のお陰。感謝!
2012/07/09
雪月花
訳者の村上春樹氏が「下手っぴいだけど気になってしかたない作家」と評するティム・オブライエンの小説は初読み。1969年の卒業生が31年後の同窓会で再会する。その同窓会の章の間にそれぞれの卒業生の31年の歩み、葛藤、秘密などが明かされる章が挟まれているスタイルの群像劇で、時折誰が誰かその関係性がわからなくなって迷子になったが、概ね楽しめた。過去の選択が間違っていたとしても、集まって、打ち明け合って、慰め合って、また歩き出そうと思える仲間がいるっていいな、と感じられる、そんな小説。
2023/09/27
James Hayashi
短編をまとめ上げ群像劇になっている。1969年に大学を卒業した連中が50歳という年齢を超え同窓会に集う。それぞれの人生があるが、ベトナム戦争を経験したり、徴兵拒否、不倫やずれた恋愛などアメリカらしさを感じる内容。村上春樹が気になる作家として翻訳しているが、ベトナム戦争を経験したアメリカの中年たちの持つジレンマ、人生で大きな比重を占める恋愛をよく伝えていると感じた。登場人物の過去を引きずる感じや、グダグダした終わり方といいやるせなさを感じる。
2016/09/04
Shimaneko
数年越しの積読をようやく消化。そういや、群像劇ならではの登場人物の多さに誰が誰やらで躓いたんだった。学生だった頃の時代背景は違えど、50代現在の心境はそれぞれ少しずつ共感できて、何ともほろ苦い読後感。身体的・物理的な経年劣化を嫌でも痛感させられまくりの一方で、コアなメンタル部分の変わらなさに愕然とするお年頃なんだよねぇ。やれやれ。。。
2017/08/06
林 一歩
再読。アルトマンの群像劇を見終えた後に感じる居心地の悪い倦怠感に包まれてます。
2015/06/24
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