パラレル
パラレル / 感想・レビュー
なゆ
パラレル、平行線。主な人間関係がパラレル、という感じか。途中まで何ともフワフワ、なんかズルズル、掴めなくて。けど〝なべてこの世はラブとジョブ〟の言い回しにグッと来ちゃったんだよなぁ。失職して離婚して漂ってる感じの七郎。離婚してからも何かと連絡してくる元妻との関係も、意味ありげでも近づかず、かといって離れるでもなし。大学からの友人津田とも、腐れ縁ながらも踏み込まず、一定の距離を置いてるよう。ラブもジョブもどうなるんだか…と思ってたが、きっといつまでも平行線ではいられないんだな、この世は。じわっと好きな感じ。
2017/08/08
いちろく
別れた妻や、親友、その周辺の人達の日常を、大学時代と2年前、そして今、と時間軸を変えながら紡がれていく物語。 村上春樹さんをはじめ、色々な作家さんの作品の中で時々描かれる人間関係の設定と思いながらも、長嶋有さんの世界観の中ではこうなるのかと。これまでの著者の作品同様、良い意味で読了後に何も残らないし、自分の生活圏とかけ離れているような物語が舞台なのに、他人事とは思えない様な、どこか既視感を覚える状況描写が、ページを捲る手を止めさせない。読了後に、あぁ、やっぱり長嶋有さんの作品なのだ、と思えるのです。
2017/09/01
Shinobi Nao
何度も時系列が混乱したけれど、それも恐らく著者の作為だと勝手に解釈して、敢えてかっちり正そうとはせず読み進めた。作品全体の雰囲気と登場人物の脱力したゆるさがそうさせたのだろうと、後になって思った。どうということのない話と言ってしまえばそれまでかもしれないけれど、心地よいテンポと会話のセンスが秀逸。男同士の友情について熱く語られているわけでものないのに「男同士っていいなあ」という羨ましい気持ちがしみじみと湧いてくる。
2016/06/14
マッピー
ストーリーといえるストーリーは特にない。時系列もランダムに、別れた元妻や友人たちとの日常が描かれる。途中までプロットもないのでは?と不安になるほど淡々と進む主人公の一人称だったけど、後半のある一点で登場人物たちがギュッとなる場面があって、そうか、そこが転換点か、と思った。なぜこの作品タイトルが『パラレル』なのか。自然体なのに妙に中に踏み込むことのできないこの作品と私の関係か?どう解釈したものか。未だ答えが出ない。
2021/09/06
冬木楼 fuyukirou
男性が書いた恋愛小説。大雑把に言うと、結婚式のスピーチで始まり結婚式のスピーチで終わるが、その間に過去と現在の男の友情と主人公の恋愛のうだうだが入る形式。男性目線の恋愛なので、女性目線のものとは感覚が違っていて面白い。 「どんな事柄であれ、正しさを主張する人間は色気を失う」の1文が妙に腑に落ちた。 若い時は正しい事が正義と思いがちだけど、正しいって何?そんなに単純化できるものなの?まあ、どんどん悩みたまえ。
2018/10/01
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