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秋の花火

秋の花火

秋の花火

作家
篠田節子
出版社
文藝春秋
発売日
2004-07-08
ISBN
9784163231204
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秋の花火 / 感想・レビュー

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あつひめ

表紙が気に入って手を伸ばした。篠田さんの本は5冊目。季節外れの花火が人の心の悲鳴のように感じる。今回はどの作品も内に秘めた心の声を聞いてもらいたがっている。愚痴をこぼせる人ほど深刻な問題は抱えていないと私は思う。人間、本当に深刻で苦しくなったら誰のにも言えずに一人苦しむと思うから。「灯油の尽きる時」やっと心を打ち明ける気になった時に伸ばした手をふり払われたような悲しみを感じたことだろう。人とほんの一瞬でも心が通ったと感じたら人の心は救われたような安らぎを感じながらそっと目を閉じる事ができるのかもしれない。

2013/04/02

みも

50頁程度の短篇5編。統一感は無くむしろその多彩さに懐の深さを感じさせる。テーマは多様なれど滋味に溢れたいずれ劣らぬ秀作揃い。仄かに垣間見える「生と死」の揺らぎと「老醜」の哀感。男と女の「性」の認識相違と、どこかタガの外れた人間の危うさをシニカルに見据える。満たされない「性」を絡めながら、人生の悲哀を切々と浮き上がらせる余白が実に見事。なかでも、夫の理解を得られない理不尽な義母の介護に疲弊してゆく女の哀切と、愛情の渇望と妄執を描いた『灯油の尽きるとき』が秀逸。差し迫った身近な問題であるだけに動揺は大きい。

2019/03/03

taiko

短編集。 初読みの作家さん。 読みやすくスラスラ進みますが、どこかがいつも暗い感じ。 色々な方面の話でお得感のある短編集だったとは思います。 介護の話は切実。少し前の話で、今とは少し違うかなとは思いますが、若い主婦が一人で背負うには重すぎる事実と悲しくなりました。 戦場の鴨たちが一番好きでした。…観覧車に閉じ込められた男梅沢の話、観覧車。 天才ピアニストに振り回される旧友修子の話、ソリスト。 若くして義母の介護に明け暮れる恵美子の話、灯油が尽きるとき。→続く

2017/08/29

モルク

5編からなる短編集。それぞれジャンルも違うがいずれも秀作である。人生の悲哀の中に垣間見える姿を描くのがうまい。「灯油の尽きるとき」が特に心にしみた。義母の介護に疲れ夫や義姉の協力や共感を得られないことに苛立つ主婦、そしてそこで出会った男は彼女の心の叫びを聞いてくれた。そして彼女はその愛を信じた。介護の辛さを知る私は彼女の気持ちがよくわかる。誰かに話を聞いてもらいたい、心を癒して欲しい…そんな彼女を責めることはできない。正直そんなに期待して読んだわけではないが、良かった。儲けものをした感じかな。

2017/08/07

秋製 

短編集。 この方の書く文章と相性がいいのか、重く感じる話でもサクサクと読めてしまった。 主人公は皆、30~50代である。恋愛と書くと違うし、片思いと書くとそれだけじゃないし。 その人物だけの生きる痛みと気持ちが綴られた話、が一番しっくり来るのかな? この本の感想、難しい・・・!

2013/09/08

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