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だりや荘

だりや荘

だりや荘

作家
井上荒野
出版社
文藝春秋
発売日
2004-07-22
ISBN
9784163231709
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だりや荘 / 感想・レビュー

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chimako

静かで激しい恋愛小説だった。姉妹と関係を持つ妹の夫、義母を愛する姉のお見合い相手、従業員と寝てしまった妹。こう書くと下世話な不倫小説だと勘違いされそうだが、そこにはどうしょうもない人間の弱さや情が上手い構成と文章で描かれる。そんなこともある と緩く感じ入る。潔癖を求める若者には不愉快な小説だろう。人を恋うる気持ちは色も形も手触りもそれぞれ。千あれば千、万あれば万。年を重ねると拒絶も許容も境目が曖昧になって受け入れられるものが増えていく。こんな小説を「いいなぁ」と思いながら読めるようになる。ありがたい。

2017/07/05

shizuka

好きになれない。迅人もきらい。杏と椿もきらい。まともなのは翼だけ。迅人の傲慢さ、超がつくほどの自信が許せない。杏の優柔不断さが許せない。椿の依存心が許せない。こんな、ことごとく嫌悪感を抱く小説は珍しい。荒野さんは嫌いじゃないのに。。最後にせめて迅人だけにでも天罰が降れば、まだ溜飲が下がるってもんだが、結局、何、うやむやのまま。そしてこの3人は知らないふりして同じ生活を続けるの?椿、子供産むのかな。意味深な子供。ああ、生まれてくる子供が不憫。もうこれ以上書けない。問題ありありの小説。それはそれで価値あり。

2018/03/26

れみ

交通事故で亡くなった両親の後を継いでペンションを経営することになった夫婦、杏と迅人。そしてそこに同居する杏の姉、椿。なんとも言えない息苦しさが…。個人的には迅人がいちばん受け入れ難い人物だったなあ。あれだけ外で奥さん以外の人と会ってて周囲が変に思わないはずがない。田舎の人ってそういうことに目聡いものなんですよ…。

2014/07/11

きさらぎ

あーこれは読めないと途中で一回投げ出し気を取り直して読み直す。まず姉妹と寝る迅人に吐き気を催し、お見合い相手と付き合いながら3年も手を出さない新渡戸さんにもイライラし、姉と夫の関係に気づきながら知らないふりをする杏にも共感できない。しかし後半、迅人は愛する人の姉であるから椿を抱き、新渡戸さんは愛する人を忘れるために椿を抱いたと考えれば何となく納得がいく。愛する人に捨てられると考えると誰もが失望し、新渡戸さんや椿のような選択をする人が多い中、変わり身の早い迅人を見ると、ひとりで絶望を味わえと思ってしまう。

2017/08/26

もぺっと

以前読んだ『キャベツ炒めに捧ぐ』や『静子の日常』がよかったので、もう少し初期に書かれたこの本を手にとってみた。明るい話を予想したが、読み進めるうちにどんどん思わぬ展開になっていった。杏が夫の迅人とともに、姉椿と一緒にペンションを経営することに。いい感じの話かと思ったが、迅人は椿とも関係を持つ。迅人という男が気に入らない。知らないふりをする杏や、他に付き合う相手がいながらも、関係を続ける椿の気持ちも理解できなかった。私には、登場人物に心を寄り添わせづらい物語だった。

2016/01/04

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