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真鶴

真鶴

真鶴

作家
川上弘美
出版社
文藝春秋
発売日
2006-10-30
ISBN
9784163248608
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真鶴 / 感想・レビュー

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mint-s

夫が失踪して母と娘と暮らす京。夫がいなくなり、気持ちの居場所を求めて青茲と...。青茲には妻と子供が三人いる。京は何かに呼ばれるように度々真鶴へ行く。今生の時間と他生の時間をたゆたう京。自分でも知らなかった夫への苦しく切ない思いは強くなるばかり。現世ではないところへ連れて行こうとする女の気配。母と娘の距離感。女の情念がわき立つような川上ワールドを堪能しました。

2018/06/28

クリママ

娘が幼い時に夫が失踪した。その後10年にも及ぶ編集者との関係を持ちながらも、夫への思いを絶ち切れず、ついてくるものに手を引かれるように真鶴へ通う。一緒に暮していればこれほどの情念は持つことはなかったろうに。そして、自分から離れていきつつある中3の娘。友人の別荘やお気入りの舟宿があったせいか、学生時代何度も真鶴に通った。半島の深い森、海に突き出す岩場、岬の突端のホテル。自分の前から姿を消した男への執着を、風景と共に我がことのように思い出す。「百年」「無明」など、川上弘美のこのような作品もすごいと思った。

2018/09/03

Matoka

間違えて誰かの夢の中に紛れ込んでしまったかのような作品。ついてきた女はなんだったのだろうか。生きていくって寂しい事で、それぞれの年代でその寂しさと向き合っていかなくてはいけないんだな。

2017/02/12

まり

川上弘美さんの本は、難しい言葉などないのに、いつも早く読めない。この物語はそれが顕著だった。言葉が、水気を含んだように重く、沈み混むように、引っ張られる。それは、ついてくるもの気配にも似ている。そしてこの物語は、距離感の(もしくは境界線の)物語だと感じた。自分とついてくるものと、娘と、母と、夫と、恋人と、土地と。現実と、そうでないものと。内側と外側と。そしてそれは、外からやってくるようであって、結局は、自分が決めるものなのかな、と思う。

2013/01/30

れいぽ

ひんやりとした手触りの本。京の周囲の気温は2~3度低いんじゃないのだろーか。失踪した夫。日記にあった真鶴の文字。土地が人を呼ぶ話なのかな。もやもやするのにラストは暗くないです。断ち切ることで、つながる縁もあるのだなぁ。

2011/08/05

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