海坂藩大全 上
海坂藩大全 上 / 感想・レビュー
matsu04
海坂藩モノの初期短編10編。はっきり言って今イチのものもないではない。が、良いものは何度読み返してもやはり良いのである。「暗殺の年輪」「相模守は無害」、初読み時の体の震えが蘇る。「遠方より来る」も何とも良い感じだ。そして「小川の辺」、短編とは思えぬ迫力でぐいぐい引き込まれてしまう。これぞ藤沢周平と言うべきである。(再読)
2022/10/12
松風
【直木賞】の「暗殺の年輪」は、藤沢周平流ハードボイルドの基本形。そこでは〈不幸〉の苦味が深入りコーヒーの快さを醸す(時代小説だが煎茶の〈渋〉や日本酒の〈辛〉ではない気がする)。以前訪れた鶴岡の街を思い出しながら読んだ。「唆す」「小鶴」が好き。【イベント寒梅忌】http://i.bookmeter.com/event/event_show.php?id=973
2014/01/22
Kira
図書館本。上巻には七つの短編集から海坂藩もの十篇を収録。七つの短編集のうち六つが手元にあり、十篇のいずれも一度は読んだことがあるというのに、「海坂藩」というキーワードにはこれまで関心がなかった。でも、ひとたび興味を持って注目すると、海坂藩というのは架空のものながら、なかなか問題の多い藩だなと。問題が多いからこそドラマも生まれるわけだけれど、住んでみても幸せになれそうな気がしない。それなのに何だか愛着がわいてくるのはなぜなんだろう。下巻を読むのが楽しみ。
2022/12/02
あまみ
【上巻下巻とも同じレビューです】海坂藩が舞台またはゆかりのある人が登場する短編集。ユーモラスなものも、夫婦愛親子愛武士のけじめいろいろな作品が収められています。藤沢周平さんの小説は好きでよく読んでいます。この「海坂藩大全」を見つけて、だいたい読んだ作品だろうなと思いましたがすぐ買いました。読んでいるうち思い出したりして多くは再読でしたが、面白かった。下巻の「泣く母」が特に良かった。250を超える藤沢作品のうち、海坂ものは長編9,短編22(解説より)ある。うち21篇が大全に収録されている。
2022/04/29
tom
久方ぶりに読んだ藤沢周平。映画をいくつか見ているためか、ここに載っている短編を読んでいると、風景や情景が目に浮かんでくるような気がした。ドロドロした出来事を書いても、それが嫌味にはならず、ホッとさせるような言動につながっていく。そこが藤沢周平の人柄なんだろうとも思う。良い本です。
2012/06/07
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