KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

私の男

私の男

私の男

作家
桜庭一樹
出版社
文藝春秋
発売日
2007-10-30
ISBN
9784163264301
amazonで購入する

私の男 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

遥かなる想い

読んでいてトマスクックの雰囲気を感じていた。義父の描写が怪しげでよい。現在から過去に遡っていく過程で、徐々に真実をあぶりだしていく筆力は読者を飽きさせることがない。

2010/07/24

めろんラブ 

限りなくインモラルな内容。「親」という存在が持つ精神的・肉体的・物理的な支配力とそれに翻弄される子供という構図は他の桜庭作品に通じるものですが、これは重さや濃さにおいて群を抜いています。おもしろい!とにかく物語としておもしろいです。各章に「しかけ」や「あそび」があり、まんまと引っかかりながら読了。これだけの内容にもかかわらず、読後感が悪くないのは、リアルな部分とファンタジックな部分のバランス故か。映像化されるとしたら(たぶん無理)淳悟役はトヨエツかオダジョーなどでいかがでしょう?

2009/08/25

風眠

こういう話を「美しい」とか思っちゃいけないのかもしれないけれど、心の芯が絶対零度的な圧倒的哀しみに満ちているのに、そこに安らぎを見出し、互いに依存しあう「二人の世界」が美しいと思った。二人は父と子の関係であるから、常識的に見れば絶対に許されることではないし、あってはならないことだ。そう思うのだけれど、桜庭一樹の書く文章は私から「常識的」な考えを奪っていく。「繋がっている時だけ、私が親になって、父親が子どもに戻る」という部分で離れられない二人が切ない。どこにも行けない、何も生み出さない、愛が痛い物語。

2012/05/17

sk4

男の欲望って銃や大砲みたいなものだけど、女の欲望ってのはブラックホールだと思う。 男は女の欲望を満たしたくて自慢の銃や大砲を撃ちまくるんだけど、なにしろブラックホールは底無しだからどんだけ撃ち込んだって満たされる事は無い。 大抵の女は自分のブラックホールときちんと折り合いながら生きてくものだけど、中には制御不能なほど大きくなっちゃってる者もいる。 腐野花。 腐野淳悟という巨大で昏い大砲を受け止めるために、手に負えないほどブラックホールを巨大化させて全てを飲み込む少女。

2013/07/14

kariya

世界に二人きりならいいのに。一人の人間になれればいいのに。そう願う程に、男と娘の関係は近くて異常で完全だった。家族を全て亡くした幼い花は、親戚の青年淳悟に引き取られる。やがて長じた花の婚礼の後に淳悟は姿を消す。他を顧みず手に掛けさえして父娘が守ったものは、男が得られない者の似姿を幼い娘に植え付けた行為は愛なのか。己も相手も殺さずに最後に消えたことこそ、二人の知り得ない真の愛情ではなかったか。答えを残さず男は消える。淀んで甘く完璧な愛情の記憶の中に、娘をただ一人置き去りにして。

2010/03/22

感想・レビューをもっと見る