虚栄の肖像
虚栄の肖像 / 感想・レビュー
藤枝梅安
このシリーズの根底に流れる「消したい記憶と残すべき記憶」の相克模様がこの本でも描かれている。真贋を決めるのは人間であり、真実と虚偽の狭間で人間は苦悩する。他の作品でも登場する華僑の貿易商・朱建民とその娘・明花も重要な人物。名前は出てこないが、「女狐」:旗師・冬狐堂・宇佐見陶子も登場する。101ページから102ページにかけて、某研究所の研究員・若槻がカラーコピーを取り出す場面に誤植がある。<「どうしてこれが!」佐月と若槻と明花の口から同じ言葉が・・・>コピーを見せたの若槻の口からこの言葉が出るはずがない。
2011/01/09
星落秋風五丈原
墓前での奇妙な花宴で依頼されたのは、肖像画の修復。報酬は、桜を活けた古備前というが…。表題作ほか全3篇を収録した、ミステリー連作短篇集。花師と絵画修復師、2つの顔を持つ佐月恭壱シリーズ第2弾。
2008/11/21
九鳥
図書館本。年末年始に楽しめそうな軽めのミステリを、と思ってセレクトした北森鴻の絵画修復師シリーズ2作目。この人の古美術・骨董の蘊蓄は読みやすくて好き。登場人物が少しずつ増えてきて、人間関係の綾が複雑に絡み合ってきた。表題作の読後がいちばん爽快でよかった。1作1作、手間がかかっていそうだけれど長く続いて欲しいなぁ。
2010/01/10
藤枝梅安
「深淵のガランス」で鮮烈な印象を残した花師であり絵画修復師である佐月。彼の過去が少しずつ明らかになる。凝縮された濃密な文章が人間心理を鋭く描く作品。
2008/12/05
とことこ
恭さんの過去が垣間見られる作品。そして冬の狐も登場!いやー、楽しく読ませてもらった。それにしても絵画の奥深い世界ったら!ますます続きが読みたくなります。が、訃報をきいてショックをうけました。びっくりです。まだまだ色んな作品をよみたかった。ご冥福をお祈りします。
2010/01/24
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