W/F ダブル・ファンタジー
W/F ダブル・ファンタジー / 感想・レビュー
masa@レビューお休み中
血の気がサーッと引いて、深い悲しみが全身に広がっていく。その悲しみは、遠く果てしない。眼前に突如現れた大海原に身を投げ出されたような感覚に陥ってしまう。人間の欲望とは恐ろしいほど強大である。はじめは無意識であるが、意識した途端に溢れんばかりの欲望の渦に巻き込まれてしまう。女を支配したいという欲望、子どもを親の意のままにしたいという欲望、男との性的欲求を満たしたいという欲望が絡み合っていく。海の藻屑となって消えていく男たちはなにを思うのか。そして、彼女はここから一体なにを得たというのだろうか…。
2014/05/20
風眠
奈津みたいに、ここまで自分に正直にはなれないけれど、同じ女として頷いてしまうところもあって。もうこの人しかいない、のめり込むように執着しても、そんなのは一時の夢みたいなもので、必ず醒める。醒めるまでの現実を受け入れるのが大変で、泣いたり媚びたり、みっともなくなるよね、うん分かる、とか思う。志澤みたいな男も、岩井みたいな男も、知ってる。口だけの、でも、いざとなったら小っさい男。「読者騒然、史上最強の官能の物語」なんて煽られているけれど、それほどでもない。女のリアルな感情を体の反応に寄せて描いた物語だと思う。
2018/06/29
mmts(マミタス)
ヒロインは高遠奈津。シナリオライター。夫は高遠省吾。元ドラマ制作会社社員だけど、いわゆるモラハラ夫。専業主夫兼奈津の自称マネージャー。二人は子なし、セックスレスの夫婦。だけど、奈津は演出家の志澤太一郎と不倫する。56歳の志澤は幼い奈津に苛立つ。傷心した際、編集者の岩井良介とまた不倫する。岩井は大学の先輩かつ元彼だった。次第に女々しい岩井に奈津は呆れる。再度、志澤に紹介された大林なんちゃらと不倫を始める。大林は売れない役者。ラスト、奈津は自分自身が如何に惨めかに気付く。呆然自失になる。単なる官能小説。
2017/10/31
ちょこまーぶる
主人公の女性の性に対しての感情の素直な表し方には素晴らしいと感じますが、共感できるかって考えると日本人の多くの人は共感できないと思いますね。だけど、女性作家さんらしい(失礼かもしれないが・・・)性の表現・文章で、読みやすかったことは確かです。官能表現の多い作品ではありますが、男性でもいろいろと考えさせられた点が多くて、作家さんの文章の力・表現力の巧みさを感じました。女性の方が読むと、より一層共感できる作品であろう。
2013/09/27
takaC
こういう女性は好かない。在庫処分(積読崩し)の高プライオリティ(毎年読んでるけど今年未読な作家)で読んだけど、言葉通りに「処分」しても良いかもなんて思ってしまった。しないけど。
2018/06/30
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