鷺と雪
鷺と雪 / 感想・レビュー
遥かなる想い
第141回(平成21年度上半期) 直木賞受賞。 良家の令嬢英子の目を 通して、昭和初期を描く。 女性運転手ベッキーさんが 控えめでよい。 上流階級の人々に 起こったさりげない事件を 扱いながら、その裏で進む 戦争への道。表題作の「鷺と雪」が 226のその夜に起こったという 設定は、当時の上流階級の 優雅さと対比させながら、読者に暗い時代の到来を感じさせる 著者なりの意図だったのだろうか… 暗くなりがちな描写を断ち切って、 お嬢様たちが上品に生きていくこのシリーズ…この先どう展開させるのか、楽しみではある。
2014/02/02
へくとぱすかる
「激動の昭和」と言われる時代の象徴とも言える、二・二六事件前夜の東京を舞台にして、北村さん得意の日常系の謎に取り組んだ作品。時代が時代だけに、物騒な空気が作中世界に漂っている中、3連作の視点をつとめる少女の周りも、つかのまの静穏のようだ。運転手の別宮みつ子による探偵ぶりは、ごく自然に「お嬢様」を守る態度で進められていく。ミステリとはいえ普通小説とまったく同然に淡々と読めるところが、北村さんの文学性なのだろうと思う。
2014/01/26
射手座の天使あきちゃん
古き良き時代の文学の薫り漂う作品ですね、「上品なお味で美味しゅうございました」(笑) 昭和初期の厳しい時代背景をベースに、古い時代を象徴する華族の令嬢と新しい時代の息吹を体現したお抱え運転手ベッキーさんが日常の謎を解くシリーズ 「獅子と地下鉄」の父子に、ほのぼのしました(笑)
2011/04/24
文庫フリーク@灯れ松明の火
騷擾ゆき―その日が来てしまうのを、その場面読むのを、不安に思いつつ読み進めれば、あまりに見事な最終章『鷺と雪』受賞自体遅いと思っていたけれど、ミステリーと純文学の融合感じてしまう納得の直木賞。能の描写に小道具・言葉のセンス、軍服勝久様とベッキーさんの会話、なにより電話番号があっ!と思わせる英子と若月の会話。細かな伏線回収と謎解きは、最近のミステリー読まれる方には物足りないかも。個人的には、やっぱり好きだわ北村薫さん。新たなシリーズ・長編、切にお願いします。できれば円紫さん続編も希望。
2011/03/27
ダイ@2019.11.2~一時休止
ベッキーさんその3。短編集。ようやく3つとも日常の謎で終わり方もイイ。
2014/07/12
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