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静人日記

静人日記

静人日記

作家
天童荒太
出版社
文藝春秋
発売日
2009-11-26
ISBN
9784163287201
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静人日記 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

力作。事故や事件といった不条理な力で生命を絶たれてしまった人を悼むために旅をしている静人が主人公。彼の日記の形で物語が進んでいく。交通事故や事件で幼い子供が命を失うというニュースを聞くとやりきれない気持ちになる。でもその気持ちはしばらくの間で、私達は普通の生活に戻っていく。それは当たり前のことだが、犠牲者が生きた証に想いを馳せるのは、生きている者の務めなのかもしれない。その務めを引き受けたのが天童荒太なのだろう。重たくて難しいテーマに正面からぶつかっていく作者の真摯な態度に頭が下がる思いだった。

2014/04/11

takaC

「悼む人」静人の本人語りだったのね。しかし構成も内容も読みにくかった。

2013/10/25

財布にジャック

「悼む人」を読んだ時に、かなり心を揺さぶられたので、だいぶ前に購入したままだったのを思い出し読んでみました。題名どおり静人の日記でしたが、どうもイマイチ入り込むことが出来ずに読了してしまいました。震災前に、それも「悼む人」読了後すぐに読めていたら違ったのかもしれません。でも悼む気持ちが大切ってことは充分伝わってきましたし、エピソードの中には胸を震わせるものも多々ありました。いつか再読することになるかもしれないので、その時まで大切にしまっておきます。

2011/05/30

ちはや@灯れ松明の火

幼い頃、死に怯えていた。未知の領域への漠然とした不安、伴う苦痛に対しての嫌悪。今もまだ、死を恐れている。突如日常が断ち切られてしまう無念、身近な人間の喪失への悲嘆。それは彼もまた、同じ。テレビを点け新聞を開けば、至る所に死は溢れていて無機質な記事の裏で生身の人間の慟哭が響く。彼は行き場を失った悲鳴を拾い集めるように悼む。身近な死と向き合うことへの逃避と己の生の享受に対する拒絶を根底に潜ませて。ひとつの生は無数の死の上に成り立つ、彼が生き続けることもまた亡き者への悼みになるのではないか。

2010/05/30

れいぽ

何気なく手に取ったが出会えてよかったと思える一冊。「悼む人」を書きながら天童さんが静人になったつもりで三年間日記を書いたものが基になっているとのこと。記録性が薄れ、物語性が強まることに著者は不安を抱いた、とあとがきにはあるが「悼む人」から零れ落ちた「想い」をそっと集めて大事に抱えている様子が浮かぶ。旅の途中で出会った人の縁も印象的。世の中は、こんなにも死があふれている。静人が悼みを終えるのはいつになるのだろう。

2011/06/29

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