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真綿荘の住人たち

真綿荘の住人たち

真綿荘の住人たち

作家
島本理生
出版社
文藝春秋
発売日
2010-02-10
ISBN
9784163289403
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真綿荘の住人たち / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

島本さん作品は3作目ですが、ガッチリとココロを掴まれて読了でした。とある下宿『真綿荘』に住むちょっと不思議な住人たちの生活をとても叙情的に描いた素晴らしい作品でした。天真爛漫で純粋な大学生「大和」君、大柄でとても穏やかでしっかりモノの「鯨」ちゃん、ミステリアスな雰囲気の「椿」さん、明るい美少女「八重子」ちゃん、なんともアンニュイな管理人「綿貫」さん、他の人物描写も秀でていて、物語の展開も見事にまとまった構成でしっかりと落ち着いて島本さんの世界観を十分に堪能しました。島本さん、やはりただ者ではありませんね。

2016/07/18

machi☺︎︎゛

東京で真綿荘という寮を営む千鶴さん。そこに進学のため北海道からでてきた葉介はお世話になる。そこに住む人達の6編の連作短編なんだけど、押し入れの傍観者だけは、別の視点からの話。それがあったから他の話も俯瞰でみられてまた違った印象を受けた。最後は結婚でハッピーエンドかな?って思ったらまた違う形での素敵な終わり方だった。島本理生さんワールドにどっぷり浸かれる背徳の魅力たっぷりの本だった。

2020/07/08

れみ

古い下宿屋「真綿荘」に住む人々の恋愛のお話。個人的に好きなのは椿さんと鯨ちゃん(と荒野先輩)。大家の綿貫さんと晴雨さんは…私には色々と複雑過ぎてなんとなく気持ちが落ち着かなかった(^_^;)表向き静かに穏やかに見える空気のなかでヒリヒリとした緊張感が感じられ、なんとも不思議な引力のある作品でした。

2013/12/30

人々と影響し合いながら、哀しく、時に柔らかく、感情を増長させていく。近すぎると傷付け合ってしまう、下宿という距離感。一所には留まれず。愛だとか恋だとか共感だとか、その辺の言葉で表現出来るような陳腐なものは要らない。そんな言葉に私は居ない。普通に沿って人と寄り添うことが幸せだと誰が決めたのだろう。美しいピアノの旋律を聴いているように、島本さんの文章が私の中に溶ける。こんなにも受け入れられた気持ちになるのは、島本さんの文章だからだろう。愛情に恵まれず生きる人々が、儚く、でも確かに踏み出す明日への一歩。

2012/10/23

優希

ワケありな人々のワケありな恋愛がどこか愛しかったです。真綿荘という下宿で暮らす男女の連作で、住民の色々な面を見ることができました。椿さんが思春期を迎えたり、大和君が大人になったり、綿貫さんと晴雨さんの進展したかどうかわからない関係とか、非常に興味深い人間ドラマになっていたと思います。真綿荘の住人たちは皆自分を大切にしてくれる「味方」を求めているのが感じられ、とても共感できました。味方になるというのは難しいですけれども。個性ある登場人物が散らばったままという印象は拭えませんがそれが逆に面白いところです。

2015/01/07

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