小さいおうち
小さいおうち / 感想・レビュー
遥かなる想い
第143回・直木賞受賞作品。戦前・戦後に小さなおうちに女中さんとして奉公したおタキさんの淡々とした語りを通して、昭和の時代を淡々と描く。時子お嬢さんと板倉さんの秘めやかな恋の描写もうまい。迫りくる戦争の時代と美しい奥様とのまわりを書き込むのではなく、さらりと描写する筆力に思わず入り込んでしまう感じか。最終章は別の視点で描き、過ぎ去った日々を遠い視点でうまくまとめている。
2013/03/03
射手座の天使あきちゃん
「ちいさいおうち」の絵本知ってますよ、何か関連あるの!?。 激動の時代と呼ばれる太平洋戦争前後、赤い屋根の小さいお家・平井家で女中として過ごしたタキさんの心覚え、その中には優しく美しい時子奥さまや可愛いぼっちゃんと暮らした、贅沢ではないけれど平和な日常が丁寧な描写と穏やかな語り口で綴られています。 なんの変哲もない懐古譚かと思いきや・・・ そうか最終章で、そうくるかぁ! いやぁ、ちょっとしんみりしましたね、良かったです。
2010/12/07
kishikan
昨年からとても気になっていた本。やはり読んで良かった。主人公である平井家の住み込み女中タキさんと時子奥様、そして子供の恭一。昭和10年代の上流家族の生活の様子や絆を女中という視点を通し、現代との比較の中で織り上げた名作。戦争に向かって突き進む中での一家族のあり様は、現代人から見れば重く、苦しい時代だったと思うのが常かもしれない。でもその当時の生活は、現代のタキさんからみれば、万華鏡を覗き込むような輝いた時代だったのだろう。小さいおうちの中にあった幸せな時間。読み終えた後の感動に誰もが包まれるに違いない。
2012/11/07
takaC
え!?何何?そういう物語だったのか…。それで、あれやあれやあれか…。ミステリー小説ならぬミステリアス小説といったところかな。地震騒動中に読んだので読み終えるのに2日以上かかってしまったが面白かった。
2011/03/13
ちょこまーぶる
素敵な作品で、映画になるのも納得させられた思いである。戦争などの時代背景の中でも暖かい家庭で女中として奮闘するタキの姿は使用人を超越した人間愛を感じてしまい、感動しながら読み進める事が出来た。また、タキが亡くなってから、甥が板倉さんの足跡を知り、彼女のご主人様の小さいおうちを訪ね、年老いたおぼっちゃんに出会い、タキおばさんの生涯を回顧するあたりは涙腺が緩んで仕方なかった。いずれにしても、今まで読んだ本の中でも、心温まる一冊となりました。NHKの朝の連続ドラマになりそうな感もあるが、映画も期待しょう・・・。
2014/01/27
感想・レビューをもっと見る