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恋しぐれ

恋しぐれ

恋しぐれ

作家
葉室麟
出版社
文藝春秋
発売日
2011-02-22
ISBN
9784163299501
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恋しぐれ / 感想・レビュー

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藤枝梅安

蕪村、応挙、秋成という同時代を生きた3人の「文人」の自由奔放で一本筋が通った生き方と、とその弟子たちが関わる「恋」の物語。7編の連作短編。それぞれ、中心となる人物とその周囲の心の動きや小さな謎が人と人を繋げ、また離していく。蕪村の弟子・月渓、のちの呉春が重要な役回りを担っている。おおむね史実通りに物語が進むが、その中に作家が創作した人間関係の機微を織り交ぜている、とっつきにくいし派手さはないが、味わい深い作品。葉室さんの「お家騒動もの」とは一味違った、軽めで洒落た1冊。

2011/06/04

財布にジャック

蕪村の俳句をおりまぜながら、大人の切ない恋を切々と語ってくれる連作短編集でした。葉室さん初読みですが、何度も直木賞にノミネートされている実力のある方だと、実際読んでみてなるほどと実感しました。凄く読みやすいのであっさりと読み終わってしまうことも出来ますが、静かでじわ~っと染み入るような独特な雰囲気に、もっとずっと浸っていたいと思わされ自然と頁を捲る手が止まります。俳句に詳しくないことが惜しまれます。

2011/07/25

文庫フリーク@灯れ松明の火

初の葉室さん。文人墨客に疎い私でも名を知る与謝蕪村・丸山応挙。人の心の機微を、物語通して染み入るように感じさせる・・どストライク・凄く好みの時代小説です。全く知らなかった蕪村の句が、しみじみと登場人物に重なり味わい深く。〆の一文で《白梅図屏風》目にした後の表紙は尚更味わい深く。タイトル秀逸な『隠れ鬼』にぐっと惹き込まれ、後は一気読み。「ひとの暮らしの姿が一番きれいやなあ」読み口淡麗、されど一読より二読、三読と、読み返して増しゆく豊潤さ。これは葉室麟さん追い掛けねば。読み友さんに感謝です。

2011/08/07

ぷりん

蕪村さんを中心に書いた7つの話。いつも葉室さんの話には、奥深さを感じます。「叶うはよし、叶いたがるは悪しき」。本当の美しさとは、「日々努力し、おのれの命を全うしようとする姿」。絵とは、形ではなく、その思いを描く。人として、大切なことは何かを示唆してくれているような気がします。しかし、切ない恋が多いですね。

2015/11/23

baba

蕪村の一門や丸山応挙、上田秋成との交流、弟子の月渓と小春の恋をからめて、蕪村の恋も語られる。娘を思う蕪村の温かな親心などが淡々と心に響いてくる静かな話しで久しぶりに葉室さんを堪能しました。月渓が小春を想い雅号にして描いた蕪村辞世の句を絵にした装丁画が心に残ります。

2015/03/09

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