彼女たちの連合赤軍: サブカルチャーと戦後民主主義
彼女たちの連合赤軍: サブカルチャーと戦後民主主義 / 感想・レビュー
おかむら
連合赤軍の女性兵士をフェミニズムとカワイイ文化(大衆消費社会)の萌芽で読み解くサブカルチャー論、なのかな?。読んでる間はふむふむとわかったようでなんだかケムに巻かれた気分。連合赤軍事件が1972年、この本が出たのが1996年、そして今2017年と、この本に書かれてる事象ももはや歴史…。96年当時女性漫画家の出産本がブームだったとか、ああ、そういやそうだったなー。
2017/09/29
九曜紋
再読本。1996年初版。浅田彰や大江健三郎が「矮小なもの」、と斬って捨てたサブカルチャー、あるいはサブカルチャー的なものを、歴史の中に埋没させまいとする著者・大塚英志。1972年に話題となった、連合赤軍の「総括」という名の集団リンチ殺人事件の主犯のひとりであった、永田洋子の心性の中にも80年代に本格的に出現する、消費される記号としての「かわいい」を見出し、自らの論理として回収してしまう。アカデミズムから離れたところから、アカデミズムに果敢に対抗しようとする著者の矜恃を感じる。
2021/08/10
茶幸才斎
連合赤軍の「総括」と称する集団リンチ殺人の犠牲となった女性たちは、「かわいい」に代表され、その後80年代に到来するモノを記号として消費する社会の萌芽的感覚を有したが故に殺されたと主張し、以後に展開した大衆消費社会とサブカルチャー文化を背景に生じた女たちの、そして男たちの思考的傾向について指摘し、戦後史の中で一定の意味付けを行おうとしている本。胡散臭いのに、読み物としては不思議と面白い。文献の記載を足掛かりに仮定と推論を駆使して「オレは社会をこう読み解く!」みたいなプロセスに、ある種のゲーム性を見るからか。
2017/01/27
罵q
「かわいい」が消費社会の産物だとするならば、消費社会そのものが黄昏を迎えた時代でどのような軌道を描いて墜ちるのだろうか?本書の結部では「正史への渇望」がネガティブに語られているものの、それはサブカルチャーの隆盛(島宇宙化?)に耐えられなくなった結果として要請されるものであり、資本主義による地縁の解体を防ぎうるものではないと思う。じゃあ島宇宙化を追認するしかない、で片付かないあたりが厄介で、健康で文化的な最低限度の生活を万人が老年まで続けるには現状共同体の再生産が必要とされるのである。難しい問題だと思う
2020/02/03
陽香
19961220
2016/07/26
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