回想: 私の出会った作家たち
回想: 私の出会った作家たち / 感想・レビュー
giant_nobita
文壇回顧録としては、著者自身の直接的な体験の比率が低くて物足りないのだが、遠藤周作・大岡昇平・円地文子に関して作家の人柄が伺われるエピソードが語られていて興味深く読んだ。カトリックの信徒にも拘らずサドに傾倒していた遠藤が、澁澤龍彦や三島由紀夫のようにサドを題材にした著作で評判を呼べず三島に複雑な心境を抱いていたという挿話や、大岡が佐伯を褒めていたのに書評でやっつけられて激怒したという話、円地の選考会における指弾ぶりが印象的だった。終章の小林秀雄に対する批判も率直でおもしろい。文章が悪文で鬱陶しいのは難。
2017/03/14
ホッタタカシ
文壇に顔の広い著者による作家・批評家の人物スケッチ。ともに三島由紀夫と仲がよく、晩年に分厚い評伝を書いた村松剛と奥野健男だが、この二人は険悪だったとか、円地文子が中里恒子を認めていなかったとか、毒舌家の小林秀雄は後輩に厳しく、一番弟子の中村光夫は最大級の被害者でありつつそのことは書き残さず、作風の変化で返答しているとか、へぇ〜と思うエピソード満載。それぞれ親しかった人びとだろうに仕事への評価はなかなか厳しい部分もある。R・N・マッキノン、J・T・アラキという二人の日本文学研究者のことは初めて知った。
2012/10/11
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