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三屋清左衛門残日録/秘太刀馬の骨 藤沢周平全集 第二十一巻

三屋清左衛門残日録/秘太刀馬の骨 藤沢周平全集 第二十一巻

三屋清左衛門残日録/秘太刀馬の骨 藤沢周平全集 第二十一巻

作家
藤沢周平
出版社
文藝春秋
発売日
1994-02-08
ISBN
9784163644103
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三屋清左衛門残日録/秘太刀馬の骨 藤沢周平全集 第二十一巻 / 感想・レビュー

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モトラッド

★★★★★[三読]仕えていた藩主の死去をしおに、用人の職をしりぞき隠居した『三屋清左衛門(残日録)』。隠居を、世の中から一歩退くだけと軽く考えていた清左衛門だが、実際は、それまでの暮らし・習慣全てを変えることだった。そんな彼にも、藩の要職を務めた経験を買われ、様々な相談事が寄せられるようになる。それらが、15のエピソードに綴られるのだが、各々が実に味わい深く、感じ入る内容で、何度読んでも引き込まれる。/『秘太刀馬の骨』は、全集では解説がないが、何が秘太刀だったのか、読み誤らないように、とは文庫本の解説。

2021/09/28

オールド・ボリシェビク

藤沢周平全集第21巻は「三屋清左衛門残日録」と「秘剣馬の骨」を収める。「残日録」では52歳で隠居した清左衛門が藩の諸問題解決に忙殺され、さらにはお家騒動にまで巻き込まれてしまう。生臭い隠居である。同じ隠居の立場である私には大いに響くものがあるなあ。「馬の骨」は藩内の派閥抗争を軸に、「秘剣を会得しているのは誰か」という謎をめぐり、主人公らが奔走する。さながら剣豪小説のごとく、立ち合い場面が多く、藤沢周平は本当に、剣道の心得があったのだろうなと思うのだが、どうなのだろう?

2024/07/11

山内正

ウグイ二匹を釣って七つの鐘が 明るい内に城下にと 子供が通った道川面は薄暗く蜩の声がする それにしても日頃生真面目な嫁が あんなおどけを口にするとは 些細な事に思いを 橋の少し上流で女と子供が動けずに泣き声が 助け上げて土手を見ると侍が傘を被り見ていた 野塩村のおみよをご存知かと 家士が訪ねた 里の暮らしと身の上話をしたと 奉行に聞くとあの川で奉公人が 水死した事件が以前にあったと おみよが訪ねて来た 以前地主様へ手伝いに 大事な客が訪れたからと 人に知られてまずい訪問だったか 何故おみよが探られるか

2022/02/03

山内正

病気か?娘奈津の顔に驚く 聞かれて打ち明ける娘ではない 嫁の里江がお気づきかと 娘のやつれようは気苦労がと言う 夫杉村に女がおられると お加代と女衆だと 播磨屋の女将は三人の方がお見えにと話す 二派に別れ抗争中か 杉村は米問屋と会って馴染み女は いないと 役人ふぜいが来る店ではないと 女でも酒でなく命ぜられてと白状 杉村の屋敷から出る際 奈津に夫に女はおらん儂が確めた 痩せた顔に生気がやどり 喜びの顔で礼を言う 日暮れの空に日が指し 奈津に似た空だと見つめる

2022/01/14

山内正

かなと俗名の遠く百年前の名に覚えが無く戒名からして若い女かと 奉公人か妾かもと住職が 松原城へ書類の受取りの帰りに 物頭の娘波津が今日中に城下に戻りたく同伴したいと 途中雨に降られ 仕方なくお堂のなかで 雷が苦手と震えた波津の肩を抱いてやったはや 三十年になる 法事の翌日に波津の娘多美に出会った 離縁して家に帰ってると 前夫の評判の悪さも平松は恐れていない 川べりを散歩し坂を登ると男が立っていた 前夫の藤川が多美の事 余計な事をしてくれたと腰を落とし刀に手をかけた時 左腰に身を寄せ手首を打ち去らせた

2021/10/14

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