補巻 1 藤沢周平全集 第二十四巻
補巻 1 藤沢周平全集 第二十四巻 / 感想・レビュー
モトラッド
★★★★藤沢周平先生の遺作『漆の実のみのる国』は、1993年1月から「文藝春秋」に連載された、上杉鷹山を題材にした歴史小説の大作である。九割方、三十六章まで書かれたところで先生は病に倒れ、1996年4月号から連載中断。翌1997年1月26日ご逝去。先生の無念はいかばかりか。没後、最終回分に当たる、四百字詰め原稿用紙六枚を病床で書きあげ、編集者に渡されていた事が分かり、1997年同誌三月号に、遺稿として掲載された。先生は二階の書斎に上がれず、一階の食卓で書きあげたという。これらの事実に、ただただ圧倒される。
2022/02/16
星落秋風五丈原
幼名を直丸といい、のちに鷹山と号した米沢九代藩主上杉治憲は、日向高鍋藩三万石の秋月家から、八代米沢藩主上杉重定の養子に迎えられ、明和4年(1767)、17才で上杉家の家督を継いだ。治憲がまだ12の少年だった頃、江戸の上屋敷で素読師範の藁科松柏に、領国が人別銭という悪税を課さざるを得ないほどの窮境にある事を教えられ、「それでは家中、領民があまりにあわれである」と涙した。「ああ、何と心優しい名君だろう。」後で現実をくぐり抜けてきたこの大人は、やや皮肉な見方をする。あなたのその思いは子供の一時の感傷に過ぎない。
2005/01/01
だまし売りNo
江戸時代の改革の中では質素倹約は時代に逆行する消極的政策と低く評価される傾向がある。しかし、身分や格式で贅沢をする既得権を否定する積極面があった。現代に置き換えれば重役の社用車廃止など健全なコストカットに繋がる。飲食店への規制を行う一方で東京オリンピックは大々的に開催する現代日本の公務員とは異なる。
2021/07/19
fseigojp
まるでプロテスタンティシズムと資本主義のような、地味で勤勉かつ清廉な人生 藤沢の文章でなかったら、最後までたどり着けなかっただろう つかれました
2015/07/24
山内正
子はなくこのまま世の中を 下らんと暮らすのかと 美味そうな握り飯じゃのと 頭の上から 中老様が 儂に力をかせ竹中家老を落とす 間者の女を守るのだ一人で 目立たぬ様に 江戸の与田が帰るのが十三日かと それまで守だくれと そなたの五人抜きは今も覚えてる 六日が過ぎあと三日かと 夜に戸口に男が斬り込んできた 体を躱し一撃で倒した もう五十だ息が続かん よく見ろこれが無外流だと斬り込んだ 一年過ぎ竹中派の処分が終わり 五石の加増と孫が来た
2022/02/15
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