田辺写真館が見た”昭和”
田辺写真館が見た”昭和” / 感想・レビュー
なにょう
名作だと思う。これを読んで、ドラマ化を考えた方があって2006年放送の「芋たこなんきん」になったんやて。★中島京子さんの「小さなおうち」を思い出した。戦前は野蛮な時代じゃなくて、文化は成熟してひとびとは身分相応に繁栄を享受していた、と。特に都市部では。★1945年6月に空襲で家が焼かれたことが、とてもとても悔しかったようだ。そりゃそうだ、祖父が興した写真館もついえてしまったもの。生命を落とした同世代の子たちのかわりに必死に生きる、頑張った生涯。天晴れ。
2024/02/11
sanukinoasayan
本書は実家が写真館であった田辺聖子さんの、大正から大戦後の昭和までの家族を中心とした写真と、その写真にまつわる当時の豊かな文化と、人々の生活の様子を語った、写真伝記とでもいう一作。なんとも温かく情感溢れる美しい文章と、懐かしい風情に彩られた写真に読み手は多幸感に包まれたまま読了する。これはちょっと風変わりではありますが、滅多に出会えない蔵書にしたくなること必至の飛び切り良質な一冊。
2022/10/30
のんき
生家の家業が写真館。その写真館で撮ったものやその他の家族写真を中心に綴られる家族史。各章の初めに写真があり、文章の初めに川柳が一句。この重層的な構造が、写真によって切り取られた一瞬に息づいていたものをよみがえらせる。写真って凄い。言葉も凄い。
2009/08/28
takao
ふむ
2022/05/30
おたきたお
昭和初期から戦中にかけて、著者の実家にあった田辺写真館の思い出語り。家族を含め人物語りの深みはさすが。戦前の大阪の豊かな庶民文化を後世に残したいという意気込みが伝わり、登場人物が生き生きと感じられる。ただ、市井に生きた大半の人々の生活と比較すると、著者の家族は中の上という裕福な階層に属してはいると思われ、これが大阪を代表する家族...というわけにはいかないだろう。しかしながら、住み込みの弟子や使用人を抱えるという大家族のあり方は商人の町大阪ならではといえよう。
2006/01/01
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