世界は村上春樹をどう読むか
世界は村上春樹をどう読むか / 感想・レビュー
ぐうぐう
村上春樹を訳した世界中の翻訳家達が一同に集まったシンポジウムをまとめたこの本を読んでいると、ふと黒澤明のことを思い出した。日本で不当な評価をされながらも世界中で高く評価され、あらゆる映画監督に影響を与えた黒澤と村上春樹の境遇が重なって見えたのだ。それぞれの国の視点からハルキの魅力を語る翻訳家の、その発言ひとつひとつが新鮮だ。リチャード・パワーズの基調講演は、ニューロサイエンスからハルキ文学を解読する試みである。私達の国において、ニューロサイエンスから春樹を語ろうとする評論家や作家がいるだろうか。(つづく)
2009/07/21
KASAO
村上春樹は次期ノーベル賞候補だという話をよく聞きますけれど、それがどういう経緯で言われるようになっているのか今まで分らないでいました。でも、この本で外国の翻訳家が村上春樹をどういった訳し方をして、外国の読者にどういった読まれ方をしているのかを知って、その理由が初めて理解できたような気がしました。春樹さんの小説が広まる理由に挙げられた「文化的無臭性」がとても印象深く、心に残りました。しばらくしたら再読したい本です。
2012/08/21
quienseria
世界中で村上春樹がどう読まれているのか、各国の翻訳者が集まって意見が交わされる。翻訳の苦労話や各国の村上春樹本の表紙比較など面白い視点から取り上げている。
2011/05/08
ちばっち
なぜこんなにも村上春樹が人気なのかが謎でした。ましてや世界中で読まれていてノーベル賞候補とまで言われている理由がわかりませんでした。私は村上春樹の言葉遊びやリズムが好きなので外国語に翻訳してしまったらそういうものが失われてしまい、良さが伝わらないのでは…と思っていました。この本を読んで翻訳者の方々が村上春樹の良さをきちんと理解し、何とか自国の人々に伝えようと苦心している姿に感動しました。書いてある言葉を正確に訳すか、あるいはニュアンスを伝えるために手を加えるか等様々な苦労や工夫が分かり面白かったです。
2013/06/22
さえきかずひこ
世界各地(アフリカおよびアラブを除く)の春樹研究者&翻訳者らが国際交流基金主催のシンポジウムに集まった記録。パワーズの基調講演は読み応えがある。四方田犬彦の感想文がひどい。香港の梁教授の文章が上手い。しかし春樹が各国でここまで読まれているとは驚きだ。マイナー言語の作品でも出来がよければモノは売れるのだなあ。
2009/07/01
感想・レビューをもっと見る