女優 岡田茉莉子
女優 岡田茉莉子 / 感想・レビュー
yokmin
580ページを超える力作。生い立ちや出演した映画・舞台作品を克明に記述している。美貌の女優であることを素直に肯定もしている。夫の吉田喜重監督の映画哲学にも触れている。吉田監督の「小津安二郎の反映画」は、難解な表現が多く、歯がたたないが、岡田茉莉子が吉田氏の映画哲学をかなりのページをさいて、平易に説明してくれているのは、うれしい。なんだか、 この本を読んでとても得をしたような気分になった。 (追加)難解だったのは、「監督小津安二郎」蓮實重彦著かもしれない。
2013/08/14
KO
岡田茉莉子は、運命として女優になったからこそ、女優の自分に自覚的でストイックになったのかなぁと感じました。私が知っている映画とは違う時代を生きてきた人。スターという存在が現実だった時代。女優であることの矜持が貫かれた伝記。あまりにも美しく、ため息だけしか出ない。吉田喜重監督とのつながりも、支え合うという言葉が陳腐に感じる、ちょっと言葉にできない関係性が美しく、羨ましいと思いました。
2016/10/23
メルセ・ひすい
13-07 赤12-22 ゛厳しい芸術の道歩んだ記録゛ 終盤急に難しくなる・・・東大っぽくなる、旦那・出没かな?? 谷崎潤一郎に「茉莉子」と名付けられ、成瀬、小津、木下ら巨匠に愛され、夫・吉田喜重作品の女神として輝き続ける女優・岡田茉莉子。映画に捧げたこれまでの人生を、自らの筆で回顧した渾身の書下ろし。
2010/02/17
koji
自らの出演作品を縦糸に、母、夫吉田貴重、関わりがあった監督・俳優、そして父岡田時彦を横糸に、岡田茉莉子の一生をまるで映画のように綴ります。特に、母が亡くなった後に2回現れる黒アゲハ蝶のシーン、父から母に送られた手紙を読むシーンはとても心を打ちました。人が生きる姿勢を考えさせます。お薦めします。
2010/01/30
chiyo
★3.0 和装・洋装のどちらもを完璧に着こなし、1950~1960年代に活躍した女優の中でも、群を抜いて垢抜けた稀有な女優のひとりだと思う。個人的には、小津安二郎「秋日和」、五所平之助「猟銃」、増村保造「妻二人」あたりが印象的。そんな彼女の自然体な姿を知りたかったけれど、タイトルにも冠している通り、女優としての岡田茉莉子に徹しているのが少し残念。彼女がスターなことは充分に分かっているので、その裏にある一女性としての心情が知りたかったな、と。ただ、彼女が巨匠たちに愛された理由はちゃんと分かる。
2016/05/15
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