遊びをせんとや生れけむ
遊びをせんとや生れけむ / 感想・レビュー
nonpono
「遊びやせんとは生れけむ」は、久世さんの突然死ののちに文藝春秋から平成21年刊行。エッセイ集である。久世さんはテレビを「巨きなおもちゃ箱」に例える。あの時代のテレビのお話。美しい女優さんから稀代の個性派俳優まで。戦後の日本を、何もないあの頃の中に確かにあった希望、そして歌の話。若い頃は難解で咀嚼出来なかった久世さんの言葉も、焼け跡の何もなさと匂いも、あの地震と津波のあとの何もなさと匂いを体感すると、また新たなフィルターとして眺められる。日常的に、久世さんの新刊が読めた昔が、まさに懐かしい。
2023/07/24
よみ
畸人とはみずからの内部に発光源を持ち、一人でいて寂しくない人間…なのだとすると、私はいっそ畸人になりたい。 任意の短歌の上の句の後に「それにつけても金の欲しさよ」と付ける遊びは今度適当な本でやってみよう。 内田裕也さんとの友情について書いた章がお気に入り。
2018/01/29
osakanazuki44
語彙力と知識の豊富さ。TV局の変わった人達の話が印象に残る。あとチョイ悪。
2024/03/23
雨
懐かしさと大胆さ、あたたかなユーモアが沢山詰まっていて、読みながら何度も笑ってしまった。当時のドラマは知らないけれど、知らないなりに楽しい。
2010/06/24
あきこ
前半は昭和の少年時代。はちゃめちゃである。日本がまだ後進国であった頃のゆるくて貧しい時代であった。テレビの世界に入ってからも尋常ではない。奇人ばかり登場する。内田裕也のような生き方は今はもうできない。後半は退廃がテーマか。戦後の歌から洋画まで、当時は気づかなかった暗い底に目を凝らす。こうなってくると「遊びをせんとや~」という空気よりも戦後の焼け跡を歩き、テレビの華やかさを世に送った人とは思えぬ深い心の中を見るようである。「父の爵」胸に響いた。
2019/06/26
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