乳のごとき故郷
乳のごとき故郷 / 感想・レビュー
さつき
春秋山伏記で描かれたような鶴岡近郊の農村で生まれ育った藤沢周平。その故郷への思いが凝縮したエッセイ。子供の頃の遊び、ご馳走など楽しい話しから、意識せずしていた差別や、担任の先生への憧れとプレッシャーにより患うことになった吃音の話しなど、話題は多岐にわたります。藤沢作品の中で武家の次男三男が不自由な部屋住みの身を嘆き、婿の口を欲しがる描写が印象的でしたが、農家も同じような構造で成り立っていたとは!昔は身分に関わらず家が物事の根本だったんだと痛感しました。現代とはまるで違う生活を垣間見て新鮮でした。
2024/01/19
ジュール
藤沢さんのエッセイ連続して読む。幼い日の農村の生活。長じてのふるさと自慢。月山、鳥海山などを見に行きたい。
2022/08/24
Kemmel
藤沢周平先生のエッセイから、故郷をテーマにした作品を再編集した1冊。少年時代の思い出等々、故郷への思いが感じられる作品となっています。ただテーマを絞りすぎて、後半の故郷の変化を訝しむエッセイが続くのは微妙かも...。既刊の個別のエッセイ集のほうが内容がバラエティに富んでいて楽しめる気がします。
2016/10/27
石川六七八
この本は、山形の地方紙や新聞、その他雑誌などに掲載された藤沢周平のエッセイを集めたものである。これまでのものより、尚ふるさとについて細かく言葉が尽くされており、彼の故郷である、黄金村や盾の下周辺の昔や現在のようすについて細密に描かれた一冊といってよいだろう。屋号で書かれた家々のことを、同じ村で生まれたうちの姉たちは知っており、電話で話すとすぐに本屋に行くといっていた。
2013/05/09
犀門
#059★★★☆☆故郷である山形県鶴岡市に纏わる随筆集。これほどの強い思い入れがあるからこそ、数々の名著が作り出されたのですな。
2010/06/11
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