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ジーノの家―イタリア10景

ジーノの家―イタリア10景

ジーノの家―イタリア10景

作家
内田洋子
出版社
文藝春秋
発売日
2011-02-10
ISBN
9784163736402
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ジーノの家―イタリア10景 / 感想・レビュー

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どんぐり

日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞のダブル受賞したイタリアンエッセイ。内田さんの本はこれまでいくつも読んできたけれど、どれも面白い。一度読むとクセになる書き手である。この本も見知らぬ人の過去に入リ込んで、人生の断片を顕わにする。特に「リグリアで北斎に会う」のキヨコさん、「私がポッジに住んだ訳」の修道女との出会いが面白い。イタリア人って、こうも他人に胸襟を開くものなのかと、感心してしまう。これは内田さんのジャーナリスティックな人間への関心、対し方によるのだろう。

2019/03/21

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

イタリアを舞台にした著者が出会った人々の人生の断片を描いたエッセイ集。微笑ましいものから、しんみりとしてしまうものまで。どれも極上の話ばかり。優しいけれど、抜け目が無くて、タフなイタリアの人々。"今日の不便は明日の好都合へ"。こんな集合住宅に住んでみたいと思わせられる「黒猫クラブ」、ジーノの人生にしんみりとしながらもこの家の窓からの景色を見てみたくなる「ジーノの家」、北斎の生まれ変わりのイタリア人の噂を聞いて会いに出かける「リグリアで北斎に会う」の不思議な物語、続く→

2016/10/03

みねたか@

例えるなら10篇それぞれが独立した映画のよう。ミラノ、ナポリそして小さな村で、街角のカフェ,南部に旅する列車、ボヤが出たアパートの中など,小さなきっかけから始まる出会い、そして見えてくる人生の不思議。時には転がる小石が突然大きく弾むような変化に驚く。苦しく辛いことが多くても少しばかりの幸運があったり人の暖かい気持ちに触れたりもできる。そして,全てを包み込むような風や波。適度にアクションも盛り込みながら,仕上げには儚くて胸が締め付けられるような切なさと郷愁。なんという濃厚さ,極上の一冊。

2020/06/08

Kaz

20年以上前の12月。休暇を取って嫁さんとイタリア旅行。ミラノ、ベローナ、アッシジ、ベネチア、ピサ、フィレンツェ、ローマを1週間かけて周遊。サッカー観戦、美術館、古代遺跡、教会巡り、そしてグルメ。今思い出しても、楽しかった。それとは裏腹なダークな部分や、ホロリとさせるエピソードが本書には盛り込まれていた。イタリアで遭遇する様々なトラブルにめげそうになりながらも、へこたれないタフさには読み手も勇気が湧いてくる。「問題が起きるのは、そもそも自分に力量がないからだ」というイタリア親父の言葉には、真実がある。

2019/03/30

ふう

どの章にも、イタリアを再訪したい、と思わせる素晴らしい世界が繰り広げられていた。とりわけ「ジーノの家」、「ワタシガポッジに住んだ訳」、「船との別れ」はじいんと来る。地図を確かめながら、土地土地の空気感を思い起こして懐かしく読んだ。特にカラブリアの荒涼とした光景、女たちが食事中はずっとキッチンに籠りっきりだったシチリア、ミラノとシチリアの温度差、そして美しい海。

2023/12/20

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