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アンダーワールドUSA 上

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アンダーワールドUSA 上

作家
ジェイムズ・エルロイ
田村義進
出版社
文藝春秋
発売日
2011-07-22
ISBN
9784163742809
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アンダーワールドUSA 上 / 感想・レビュー

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W-G

読まずにとっておいたが、新作出たので解禁。相変わらずの圧倒的な濃密さと情報量。物語はスローペースでスタートし、澱を溜め込み、淀みながらギアを上げていく。この3部作では、ウォード・リテルがフェイバリットだったので、ウォード不在の最終作は期待値やや低めだったが、前作では他キャラに埋もれていたドワイトが俄然活きている。ウェインの破滅傾向も加速してすっかり一人前。下巻への引きとなるドワイトの台詞に痺れ、余韻に浸った後で下巻へ。どういう着地を見せてくれるのか、エルロイ相手に期待しすぎという事はないだろう。

2016/08/12

ずっきん

『夕暮れがやってきて、去っていく。暗い空が脈打ち、ラスヴェガスのネオンと衝突する』ぐうぅ、肌が痺れる。のけぞる。吐く息が震える。無駄のない短文はそのままに、ぶち込まれる叙情というか情緒。この洗練が十年の沈黙後のエルロイということか。揺れ動く、矛盾に満ち満ちた悪党どもが埋める史実の隙間は、愛憎、欲と苦脳の肥溜めで糞ったれだ。そしてわたしはとうとう辿り着く。上巻を締めくくるあの台詞に、再び撃ち抜かれる。ああ、あんただったのか。しばらくこのままでいたい。あんたの台詞の中に沈んでいたい。

2021/02/26

kasim

暗黒三部作の完結編。読めばすごいのは分かっているけど、前作の最後でお腹一杯になったため長年積読。ケネディ家が去りニクソンの時代。右翼も左翼も悪人ばかり、しかも混ざり合って敵味方も錯綜。汚れずに生き抜くのが不可能な世界で、空虚さとそれを埋めるための妄執を抱えた、異なる境遇の三人の男たちが一つに寄せられていくといういつものエルロイだ。カップルや人間関係が、誰が誰をなぜ欲しているのか混乱するジラール的な三角関係にずれ込んでいくのも恒例パターン。

2021/09/20

藤月はな(灯れ松明の火)

FARGO2や映画『アメリカンドリーム 理想の代償(The most violent year)』より少し前。悪党共の年貢の納め時。特にフゥーヴァーのパラノイアの加速ぶりや黒人への恐怖が電報的記録にも現れたり、ケネディ家の没落に反してのニクソンへの台頭が印象的になる。名前の音がhollyに似ているためか、ドワイトが性格は破綻しているのにまともに見えます。それに普通、毎回、情事後に「俺のことを愛しているか?」って訊く男って面倒くさいって思うのにカレンが偽善者且つ狡すぎるおかげで哀れに思えるのも逆に新鮮(笑)

2016/01/18

Richard Thornburg

感想:★★★  シリーズ第3弾上巻。  大統領はジョンソンからニクソンの時代です。  前作は史実的にもかなり謀略の匂いのする事件を織り込んだりしていたこともあって激しい動きがありましたが、本作ではいささか落ち着いた感があります。  前作までと大きく印象の違うのは、ちょっとした謎の事件や謎の人物を絡ませている点ですかね。  のっけの謎の事件の真相はほんの少しづつ断片的な語りで匂わせている感じです。  文章的には前作より読ませてくれるのですが、史実的な凶悪事件が起きるわけではないのでいささか緩慢な印象。

2021/07/19

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