昭和天皇 第五部 日米交渉と開戦
昭和天皇 第五部 日米交渉と開戦 / 感想・レビュー
ぐうぐう
盧溝橋事件も張鼓峰事件も、歴史というレールに配置された予定調和としてある。そういう意味で福田和也『昭和天皇』の読みどころは、予定調和としての出来事の枝葉にあったりする。影響力を増す陸軍に対する裕仁の憂いや、兄へ向ける高松宮の複雑な心境などがそうだ。また、ときおり挿入される文学者達の姿も楽しみのひとつ。稲垣足穂や矢田津世子という意外な顔が出てきて、「おっ」と思わせる。イギリスの対ドイツ宣戦布告を伝えるラジオを聞いて、彼の人は呟く。「これは、第二次大戦がはじまった、という事だね」(つづく)
2016/11/14
そら丸
昭和天皇中心の構成ではあるが、国内の政治や国際情勢に加え、作家や芸能人のエピソードを入れて当時の情勢を表現している構成が素晴らしく、読みごたえありの作品。今回は遂に日本開戦。★★★★
2012/08/10
Akira Kumoi
いよいよ開戦前夜。軍部の台頭、陸海軍の主導権争い、盧溝橋からの仏印侵入に西園寺公の薨去…となだれ込むように大戦に突入していく様子がリアルに描かれます。 この時代を平成の今と「よく似ている」とするここ最近よく聞かれるようになった主張は、この巻を読めばかなり乱暴なものだとあらためて感じます。
2018/01/04
じろ
★★★ 開戦してもたし、なんかもう最後はみんなしゃーないみたいになってるのが悲しい…天皇までー涙 なんなんだ陸軍は??しかしなんか大切なことをごまかしながら上奏してとりあえず状況を取り繕うひとたち、会社でよく見る…こういう奴らに主導権を握らせるとやはりあかんということなんだな。
2019/11/12
楽
だいぶ手間取りました。『昭和天皇』はそろそろこのスタイルに限界があるのではないかと。彼の人(かのひと、昭和天皇)はほとんどお言葉を発しないので、発言を中心に事績をまとめるのは難しいのでは。同時期のいろいろな人物の話が出てくるものの、本筋の話がよく見えなくなり、いつの間にかアメリカとの戦いに進んでしまう感。
2011/11/22
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