はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか
はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか / 感想・レビュー
ヴェネツィア
『熱帯雨林の夢』を検索していたらヒット。フィリップ・K・ディックへのオマージュ風のタイトルにも魅かれて購入。短篇と中編の間くらいの長さの小説4篇からなる。いずれも、幾分かはSFの要素を持っている。篠田節子の小説は久しぶりだが、とにかくうまい作家だ。表題作の「はぐれ猿は…」のエンディングには、ちょっと胸が熱くなった。また、最後の「エデン」も予想通りの結末とはいえ、やはりホロリとなってしまう。一方、「深海のEEL」などは時事問題を巧みに取り入れているのだが、作り過ぎてうまさだけが目立つようだ。
2013/09/11
tama
図書館本 わははははははは 黒いぞ黒いぞ 真っ黒けな笑いだぞ 小松大人も筒井センセも喜ぶぞ サナダムシの件は筒井センセがその昔描いておるがこれもなかなか。
2013/07/09
kaizen@名古屋de朝活読書会
中短編4作。 深海のEEL 豚と人骨 はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか エデン 空想科学小説(Science Fiction)に分類できるかもしれない。 SF好きの方は、細かい所に拘る。 もう少し、書き込んで欲しいという要望を理解できる。 根暗小説というには、否定的すぎない。 やや暗めの現代小説というところなのでしょうか。 深海のEEL 最後のプランクトンと鰻の関係を定量的に示す指標が欲しいかも。 豚と人骨 人骨の話題と豚の話題の関連性を指し示す背景知識が自分には希薄である。ちょっと調査しよう
2013/03/09
RIN
有名なSF小説のタイトルをパロディにしたタイトルでのSF?ホラー?短編4編。自分はF・シェッツィング『深海のYrr』しか読んだことがないが、本家の話の流れを巧く取り込みつつ全く異なる展開とメッセージを盛り込んだ秀作。きっと他の3編もそうなのだろう。本家を知らなくても全く問題なく楽しめたが読んでいたらきっと違う意味での楽しみもあるのかも。それにしても篠田節子さんって「篠田節子」という工房なんじゃないかと思うくらいテリトリーが広過ぎる!ジャンルもテーマも軽々と飛び越えて一定以上の水準を維持しているのはスゴイ!
2015/05/29
TATA
篠田さんは「インドクリスタル」、「ゴサインタン」に続いて三作目。これまでの二作ともフレイバーが異なり、理系ホラー風作品とでも言えばよいのか。SFというほど遠い未来でもなく今ある科学に着想を得て、少しだけの未来に物差しを伸ばして得られるぞくっとした読後感。うーん、今までに読んだ小説では得られなかった作風です。いろんな示唆も含まれており、ただただ篠田さんの見識の深さに感嘆至極でした。中でも「エデン」が白眉、深いです。
2016/06/25
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