WANTED!! かい人21面相
WANTED!! かい人21面相 / 感想・レビュー
yumiha
まだ42歳だった赤染晶子の逝去(2017年)をとても残念だと思う。『乙女の密告』(芥川賞受賞作)は、とても面白かったが、その後の作品を全く読んでいなかったのが悔やまれる。本作は軽そうなタイトルだけれど、「わたしには勇気がある」と自分を鼓舞する楓の心中には、飲みことのできない苦しみがあり、だからこそ譲れないものがあった。そのことにやっと思い至ったわたし(律ちゃん)の乙女餅は、どんな味がするのだろう。他2作も、多くの人なら素通りしてしまうところを、書くことでこじ開けようとする赤染晶子の独自性を感じる。
2021/01/28
ミュポトワ@猫mode
図書館本。読後の感想は「えぇ~…なにこれ…」です。ホントに呟いた…短編3篇が収録されている本で、それぞれ明治とか大正ぐらいの女性の心情を描いた本ですが、いや、きつい…表題作は女学生、2編目は女工、3編目は家政婦ですが、私には正直きつい、というかわからない…この辺は性別が影響してくるんだと思います。女性ならこの気持ちわかる~ってなるかもしれませんが、男はちょっとなぁって感じ。マリトワはいけるけどこれは無理っぽい。全員向けの本ではないのでしょう、きっと…短い本ですが、読むのに時間がかかり、久しぶりに唸ったわ…
2019/03/20
そうたそ
★★☆☆☆ グリコ森永事件を題材に描く表題作含め三編を収める。表題作は読みやすいものの、物語の本質に近づくことはできなかった。結局何を書こうとしていたのかという疑問のみが残るばかり。よくわからない。併録の二作はどこか昭和の雰囲気をまとった作品でこちらもよくわからない。「少女煙草」なんか雰囲気は好きなんだけれど、途中で置いてかれてしまうんだよなあ……。
2017/12/18
kishikan
「WANTEDかい人21面相」というタイトルと帯の「渾身の<芥川賞受賞第一作」に惹かれて手にした本。芥川賞受賞作「乙女の密告」はまだ読んでいないので、赤染さんの作品は初読み。タイトル作は、カバーの可愛らしい絵じゃないけど、迷宮入りのグリコ・森永事件のキツネ目の男と女子高校生のいじらしさを重ね合わせた、興味深く印象に残る作品。でも他の2つの中篇は・・・?。モチーフとしては面白いんだけどなぁ。物語に入り込めないんだよねぇ。接続詞がほとんどなく、文章のつながりが悪く読みにくいしねェ。最近の芥川賞作家って皆こう?
2011/09/24
新田新一
作者が芥川賞を受賞した『乙女の密告』と同じ才気を感じる短編集。「WANTED !! かい人21面相」は、グリコ・森永事件を背景に風変わりな女子高生の生活を描いた作品。主人公とエキセントリックな女の子楓の友情が、ユーモアたっぷりに書かれています。かい人21面相が、京都の田舎町の人達のアイデンティティになったという社会風刺に、作者の力量を感じます。「恋もみじ」は不思議な味わいの短編。登場人物たちが言葉にこだわる点が面白いです。「少女煙草」も魅力的な作品で、少女のような老女の生き様が現実を突き抜けて語られます。
2024/04/22
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