水底フェスタ
水底フェスタ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
辻村深月はこれで6作目だが、この作品はシチュエーションが特異に過ぎるために、リアリティを犠牲にすることになったようだ。因習的な村の負の部分を凝縮したとしても無理があるだろう。初出は「別冊文藝春秋」への連載であったようだが、構想が途中で揺れ動いたのではないかとも思われる。ことに、結末部はどうにもならなくなって無理矢理に決着をつけたようである。広海の最期の決断も、事後処理の感が残る。主題が絞り切れず、拡散してしまったのは残念である。
2024/07/27
扉のこちら側
初読。ダムに沈んだ故郷の村を懐かしむノスタルジックな青春小説を想像したら大間違い。停滞した閉鎖的なムラの書き方に厚みがあり、古い街の古い家育ちの私には嫌な汗が出てきた描写が沢山あった。最後は不正が明るみに出るところまで見たかった。作者は田舎の秀才で人と自分は違うと自覚している10代の主人公の書き方がお上手。だけど真逆のタイプを主人公に据えた作品なんかも読んでみたい。
2013/01/20
ダイ@2019.11.2~一時休止
エッセイにもあったロックフェスティバルのお話。重い雰囲気でも最後が気になって一気に読めてしまった。
2013/12/16
takaC
グイグイ読んだが何とも救いの無い結末だった。物語は面白かったが、広海も由貴美も達哉も、顔姿のイメージがいまひとつ素直にできなかったのが残念。
2012/01/09
風眠
ロックフェスを誘致したことで村興しに成功した田舎が、この物語の舞台だ。そこに村出身の女優が帰ってきたことで、慣例となっていた村の有力者たちのお金がらみの不正が明らかになっていく。小さな村という独特な雰囲気だからこその隠蔽と、落ちたら二度とは浮かんでこない沼と、狭い社会の中での人間関係と。まさに「水の底」にいるような息詰まる感じが漂っている作品。泥と藻がぬめっと絡み付いてくるような、嫌~な感じがまとわりついている。
2012/08/24
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