デフ・ヴォイス
デフ・ヴォイス / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
【感想その1】ランキングという「記録」に残る作品では無いが、2011年刊行の『デフ・ヴォイス』いつまでも「記憶」に残る作品となるでしょう。有川浩さん『レインツリーの国』の一節。「知らない人は手話をあくまで聴覚障害者(ろう者)の補助言語としてしか認識しておらず、それを第一言語-思考を形成する母語として認識している人は少ない」その手話が一般的に知られる、日本語に手の動きを一つ一つ当てはめて行く「日本語対応手話」と、ろう者が昔から使っている、日本語の文法と全く違う独自の言語体系「日本手話」に分かれ、→
2015/02/25
ウッディ
殺人事件を起こした聾者の取り調べで、悔いを残した荒井は、手話通訳士となった今、時を隔てて起こった事件の謎を調べ始める。道で転んで大泣きしても気付いてもらえず、健常者との交渉を任され、強くならざるを得なかった聾の両親の元に生まれた聞こえる子供・コーダの孤独を知り、障害者に対する自分の知識や想像力の欠如を気づかせてくれた一冊であり、ミステリーとしても読み応えがありました。聾者と聴者を隔てる壁をなくすための手話通訳士の存在、そしてみゆきの「あなたたちの言葉を覚える」というセリフが印象的でした。面白かったです。
2020/06/13
射手座の天使あきちゃん
読了です、文さん ちょっと恨みます!(笑) 昨日まで何も知らない私は何の屈託もなかったのに、知ってしまいました ろう者のこと、コーダ(Coda)のこと、手話にも種類と使う人のグループに違いがあることを そして今まで手話で話す人を遠巻きにして関わり合いを避けて来たことに後ろめたさを感じました。 この先も何か出来る訳じゃないかもしれないけれど間違いなく良い本に出会えました。 私も誰かに恨まれるかもしれないけれど読友さんに是非お勧めしたい「読んで下さい いい本です!。」 文さん お勧めありがとう♪ (^_^)/
2015/03/28
まちゃ
ろう者の過酷な現実を描きつつ、手話通訳士・荒井が17年の時を隔てた二つの殺人事件の切ない真相に迫るミステリー。謎解き要素もしっかりした社会派の良作でした。面白かったです。/手話に「日本手話」と「日本語対応手話」の二つがあるなんて知りませんでした。デフ・コミュニティーという言葉も初めて聞きました。 (デフ・コミュニティー:「ろう社会」の文化的な見方で、耳が聞こえないことによってではなく、日本語手話とろう文化を共有する社会)
2015/08/22
いつでも母さん
読友さんのレビューに誘われての1冊。手話や言葉の説明で始めは少し時間を要した。従姉妹の子が『ろう者』なのだが、ほとんど知らない自分を恥じた。知識として頭にあるだけでは、なんの役にも立たないと感じた。荒井の自問は私にも当てはまらないか?理解しようとする人間か、避けて通る人間か。しかしなぁ『ろう者』や『障害者』に対する警察機関って、実際はどう接しているのだろか?それを思うにつけ、この国の『足りないもの』が浮かんでくる。ミステリーではあるのだが、それよりもこちらに訴えるテーマと行間の想いに参った。お薦めの1冊。
2015/07/22
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