abさんご
abさんご / 感想・レビュー
ヴェネツィア
様々な意味において、これまでの芥川賞作品との異質性が際立つ。横書きも最初だろうが(おそらくそれを意識してつけられたタイトルだ)、それを含めて表記法が特異である。漢字も用いられるが、本来は漢語であるものも往々にして仮名で表記されるために、時として読んでいる途中で意味の了解に齟齬を来たすのである。それもまた作者の計算の内なのだが。さらには全体の構成も含めて世界観や主題の把握が極めて困難である。つまり、意味内容ではなく、むしろリズムにこそ本質があるようだ。畢竟、これは小説ではなく一種の散文詩なのだと理解したい。
2015/05/03
みも
読者の理解を拒むような茫漠たる文体。斬新かつ大胆な横組み表記。芥川賞受賞当時、フォーカスされたのはその書法と、史上最年長(75歳)受賞者である驚嘆。僕は思い込んでいた…文中に「ab」等の縦組には適さない文字が多いから、必然性が横組を選択させたのであろうと。ところが、通常カタカナ表記される単語を平仮名に、数字は漢数字を用いている。つまり、そこに必然性など一切存在せず、むしろ逆説的手法を採用し、奇を衒う事が目的のように見える。平仮名を多用し日本語の美しさを著したいなら、尚の事、縦組にすべきではなかったのか…。
2020/04/19
遥かなる想い
第148回(平成24年度上半期) 芥川賞受賞作品。 前代未聞のリバーシブル本 で、しかも受賞作は横書き。 でも読みながら、そんな要素 は抜きにしても、物語に全く 入れない自分を感じていた。 ひらがなが多く、読点が ほとんどなく、しかも 死者が年に一度帰ってくる 三昼夜の描写は、著者が ひとり酔っている。 読者不在のこの流れを 選考委員はどう評価した のか。 75歳で受賞したという この作品を未熟な私は理解 できなかった、残念。
2013/08/13
hiro
今話題の芥川賞受賞作。同じ芥川賞受賞作の川上弘美さんの『蛇を踏む』は、テーマが何なのかすらも理解できなかったし、川上未映子さんの『乳と卵』も句点が出てこない独特の文体に手こずった。、この『abさんご』の比ではなかったで。78ページの小説を読んだというより、ただ横書きで書かれたひらがなを追って、小説の内容もわからなかったいたというのが正直な感想だった。一方、‘縦書き’のタミエが主人公の短編3編は、3編目の『虹』のラストを読んで引いてしまった。
2013/04/23
absinthe
なんだこれはひらがなばかりでなんだか読みにくいなと思いつつ眼がなんども同じ文章をいったりきたりじぶんのあたまのわるさをたなにあげこれは文章が悪いんだと呻きながらとうとうわけがわからずじまい.どこを縦読みするのやら.おそらくこれは実験的なこころみで文学にがてなどくしゃはつきなはすつもりなんだろう.普通あたまをよぎってはきえてしまう一瞬のおもいをしずんでしまうまえにささっとてんぷらのようにつまみあげる手腕はなんだかじょうずである.わかったんだかわかんないんだかもよくわからない感想.
2022/11/25
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