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サクラ秘密基地

サクラ秘密基地

サクラ秘密基地

作家
朱川湊人
出版社
文藝春秋
発売日
2013-03-13
ISBN
9784163820101
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サクラ秘密基地 / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

《秘密基地》という言葉に、ときめきと懐かしさ感じるあなたはご同輩(笑)表紙の4人だけの秘密は、高いコンクリート壁で遮蔽された、セイタカアワダチソウと雑草が生えた空き地。破棄された青の軽トラックはジェット号と名付けられ、背後に一本きりの桜の木が花咲く《サクラ秘密基地》スピンまでが桜色の暖かそうな装丁は擬態。児童虐待死、地下鉄サリン事件を想起させる作品、行旅死亡人(行き倒れ等、住所氏名等が判明せず、且つ遺体の引き取り先が存在しない死者)の遺した手紙・・昭和ノスタルジーという優しげなオブラートに包まれた→

2013/09/24

kishikan

「オルゴォル」以降、なんとなく朱川さんのタッチが変化したかなって思ってたけど、この短編集は久しぶりにホラー・ファンタジーの世界とセピア色の情景が瞼に焼付くようで泣かせます。もしかすると誰もが心の奥にしまいこんだ、痛い思い出、本当は思い出したくもないんだけれど、でも忘れてしまっちゃいけないような気がして、扉を閉ざしちゃいない記憶。いつもそこを朱川さんは突っついてくるんだよね。 でも彼の良さは、決して嫌な思いをさせずに、そこから立ち上がるきっかけをつくってくれるところ。「サクラ秘密基地」「スズメ鈴松」が絶品!

2013/07/08

新地学@児童書病発動中

朱川さんお得意のノスタルジックホラー。どの作品も昭和の匂いが立ち込めており、私のような昭和生まれは懐かしさを感じる。「コスモス書簡」、「黄昏アルバム」のような詩情を感じる言葉のセンスが素晴らしい。単に面白いだけではなく、人間が生きていく上で感じるやるせなさや、生の哀しみがきちんと書き込まれているので、どの物語にも説得力があった。友達が失踪した事件のショッキングな真相が明らかになる表題作と、外見は怖いけれど優しい心を持った「鈴松」が登場する「スズメ鈴松」が私の好み。

2015/10/18

ちはや@灯れ松明の火

四角く切りとって閉じこめた時間のかけら、その中できみは屈託なく笑っている。ほろほろと散る桜が哀しいなんて思わなかったあの頃。写真は深く眠った記憶を揺り起こす。別れを招く飛行物体、幸せだったと告げるコスモス、今思えばそこは分岐点。黄昏にうすれゆく同級生、月光にかすんだ家族、振り向いても、もう戻らない。目に見えるものが真実とは限らないと、人の心までは写しとれないと、あの時はまだ、知らなかった。あの日を刻んだ写真の中、あなたは不機嫌そうに睨んでいる。私だけが知っている素顔は、心の奥の秘密基地にしまっておこう。

2013/05/07

紫 綺

久しぶりの朱川さんの短編。ゾゾッとするような話が多かった。表題作と最後の「スズメ鈴松」が印象的。最後の短編で救われた一冊。

2013/06/12

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