月下上海
月下上海 / 感想・レビュー
ミカママ
設定が苦手な感じがして、長いこと積んだままだった自分をなじってやりたい。著者さん、食堂モノの方だよね。この振れ幅は、2時間ドラマのプロット作成というキャリアの賜物か。戦前の財閥令嬢として育ち、上海へ渡った八島多江子の壮大なドラマ。多江子の瑠偉(るい)への想いが愛おしい。女が男の浮気を許してしまうと、母親になってしまう、というのをちょうどどこかで読んだばかり。男を包み込む包容力には憧れるけれども、彼の母親になるのはイヤ。そしてやはり、女はいつでも男の最後の女になりたがるものなのだなぁ。
2020/03/07
えむ
昭和17年、八島多江子は画家としての新しい道を見つけるため上海に来た。助手として岸武が付くが、彼の正体は上海憲兵隊特高課 槙庸平大尉だった。松本清張賞受賞作。推理小説ではなく、良質な長編エンターテイメント小説を表彰する。読んだ後で調べて納得でした。665
2013/10/27
みかん🍊
食堂のおばちゃんの山口さんとは思えない作品でした、戦時下の上海にやって来た財閥令嬢で人気画家の多江子が出会った4人の男達、美人で才女で強くてそして愚かな多江子と心底愛した馬鹿な元夫瑠偉、上海で出会った槙はほんとに嫌な奴だった、波乱万丈な上海での日々、強くたくましくそして華やかなファッションの彼女はカッコよかったです。
2020/08/31
じいじ
戦中の上海を舞台にしたエンターテイメント物語は面白かった。読み終えて、日本も無謀な戦争をしたものだと改めて思った。海運業で財を成した財閥令嬢・八島多江子が主人公。でも、この画家の主人公は、俺の好みのオンナではなかった。容姿端麗(表紙イラスト参照)、話術に長けてオトコを魅了する女性であることは間違いない。再出発を願う多江子が文藝春秋社の菊池寛に檄を飛ばされる場面が面白い。「目指せ洋画壇の貴婦人を―知的で優雅に、颯爽としてスマートを演じろ」と。松本清張賞受賞作。
2019/05/12
barabara
テレビで話題になる前から注目していた作品。粗筋から言えば当時の上流階級、きらびやかさと一歩通りを外れれば貧民街が相反する雑然とした上海などがさらっと軽く書かれていたという印象。しかし表紙の女性のインパクトは強く、それは読者だけでなく、きっと小説内に出てくる男たちは皆そうだったと確信できるほど、多代子の「マーナ・ロイ」風の品のいい美貌が何もかもかっさらっていった。内容自体は期待したほどの活劇、スパイ活動もなかったし、軽いタッチの文体でさらっと読めてしまい、言われるほどの作品(松本清張賞)とは思えなかった。9
2013/07/18
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