丸谷才一全集 第一巻 「エホバの顔を避けて」ほか
丸谷才一全集 第一巻 「エホバの顔を避けて」ほか / 感想・レビュー
渡邊利道
同人誌「秩序」に連載された処女長篇『エホバの顔を避けて』は、ヨナ記をベースにした作品で、古代の話なのにまったく当時の日本で、国家と個人という大問題を正面から思索したギリギリのリアリティーを感じさせる傑作。ジョイスからの強い影響が、未消化なまま必然となってあらわれた作品でもあって、作家自身は習作と考えたらしいがある意味でそれも無理はないと思える若き情熱の本。
2017/04/29
小竹
「エホバの顔を避けて」「にぎやかな街で」「秘密」「川のない街で」「思想と無思想の間」「男ざかり」の7篇を収録。 「輝く日の宮」から丸谷作品に親しんだ身には、この作家の初期作品の手触りのあまりの違いに困惑を覚え長らく避けてきたのだけれど、今回改めてきちんと読んでみて感じたのは、やはり強い困惑だった。題材に因るところも大きいのだろうけれど、兎に角重苦しい。理知的な軽みが丸谷作品の魅力だと感じている自分には、7篇の収録作及び三浦雅士の解説に至るまで、どこにも良い点を見出せなかった。
2018/01/02
T.M
第9集は、前半が夏目漱石論。最初は「こころ」についての違和感について。こういう感覚は多くの人に共有されているもののようだが、その根拠は丸谷才一ならではと言っていいだろう。彼の博識さには感嘆させられる。
2015/03/03
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