オレがマリオ
オレがマリオ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
俵万智さんの第5歌集。2部構成をとり、第1部は震災のまさにその日から沖縄移住後、本書の出版(2013年11月)まで、第2部は第4歌集『プーさんの鼻』以降のものをまとめている。「新鮮なうちに切れ味よく詠んだ」子どもの歌「子どもらはマングローブの森に消え「あった」とかすかな声が聞こえる」。そして「じっくり寝かせ」た恋の歌「性欲のこと聞かれれば女にもあると答えて時計をはずす」。あるいは子を愛する母の歌「子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え」からなる。いずれも円熟の境を迎えつつあるか。強!推薦。
2017/02/23
masa@レビューお休み中
311が起きた後、仙台のご両親と息子さんに再会できたのは、4日経ってからだった。その後、仙台の住まいを離れ、西へ西へと向かった万智さん。今は、息子さんとともに沖縄の石垣島に住んでいるといいます。その震災から移住後の生活を綴った歌集です。詠まれているのは、大部分が移住後の短歌なのですが、なぜか震災の歌が根強く胸に残っているのです。それは、決して震災と移住は対極にあるものではないからなんでしょうね。すべてがつながっていて、その延長上に今の生活がある。だからこそ、我がことのように良かったと安堵するのでしょうね。
2014/04/03
新地学@児童書病発動中
天性の歌人だ。俵万智に手にかかったら、どんなことでも歌になる。この歌集では震災を逃れて、沖縄で息子と暮らす心境を詠んだものが多い。寄る辺ない気持ちが沖縄の自然で癒されていく過程が手に取るように分かり、私の心も明るくなった。やはり子供さんのことを詠んだ歌が良いと思う。母としての愛情がまっすぐに伝わってくる。「おかあさんきょうはぼーるがつめたいね」小さいお前の手が触る秋
2016/03/23
yanae
お気に入りさんのレビューを見て手に取った本。俵万智さんの第5歌集。仙台に暮らしていた震災時、沖縄に移住した震災後。前回の歌集から震災までの時期。それぞれを歌った歌集です。すごいよかった。ビックリした。震災時の歌集は当時を思い出して泣きそうになったし、一人の男の子の母である万智さんの子供の歌には共感したし、恋の歌は素敵だった。万智さんにはまりそう。遡って歌集よみたい。あとがきもとても素敵で息子さんのコロコロコミックのくだりにはじーんとした。素敵な素敵な一冊でした。
2017/08/09
パフちゃん@かのん変更
「サラダ記念日」で一躍有名になったのは27年前。2003年には未婚のまま男児を出産しています。その父親ってサラダ記念日の人ではないのかしら。結婚できない辛さ、それでも愛を詠う歌人としての強さを思います。その男の子がまたセンスがいいのよね。昔、「恋をするがいい、失恋すれば詩が書ける。しなかったらもうけものだ。」と言ったのは誰だったか。俵さんも恋をしたから歌が書けるのかな。未婚のまま出産してすごく強くなられたと思います。
2014/08/24
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