太陽の棘
太陽の棘 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
ニシムイコレクションに出会ったことに端を発し、そしてDr.スタインバーグへのインタビューが本書を生み出した。小説作品としてけっして悪くはないのだが、実話に基づいている上に、当事者から聞いてしまったことが、逆に言えば創作への足枷ともなってしまったようだ。すなわち、事実の圧倒的な存在感の前に、自由に想像を拡げる余地が乏しくなってしまったということだ。最後のエピソードはあるいはフィクションかとも思うが、それ以外は基本的には再構成といったものに近いのではないだろうか。もっとも、それでも十分に価値はあるのだが。
2017/05/14
馨
戦後、アメリカが統治している沖縄へ軍医として赴任した主人公エドと、地元で生きるために絵を描き続けた沖縄の画家たちとの友情の話。大和人でもなく、アメリカ人にもなれない、沖縄人の心の傷や葛藤、エドの目線から語られます。戦争によって過酷な人生を背負っていく登場人物たち、また戦争がなかったら彼らが出会うことがなかったと思うと過酷な人生もまた運命と感じました。
2014/11/30
文庫フリーク@灯れ松明の火
【Hello my friend 君に出逢った夏があったね ミューズがくれた 奇跡の夏だった】読了後、太平洋戦争末期の沖縄戦を知るため検索。「沖縄と太平洋戦争」特集NHK戦争証言アーカイブスを閲覧。物語内で僅かに触れられていた記述に対し、体験者の肉声による証言は重く、自分の無知を恥じる。酸鼻極める戦争に勝った者、負けた者。支配する側とされる側。戦後間もない米軍那覇基地に配属された若き精神科医エド。米軍の政策がきっかけで生まれた芸術家のコロニー「ニシムイ・アート・ヴィレッジ」のタイラ。【愛しくて 切なくて→
2015/04/17
蒼海
こんなにも心洗われる物語を読んだのは久しぶりだ。最初の文章から引き込まれ、すぐにマハさんのファンになった。『一人のアメリカの青年エドが軍属の精神科医として戦後の沖縄に赴任するところから物語は始まる。彼はひょんなことから、絵筆を握り命を輝かせているニシムイの村の芸術家たちと出会い、心を通わせていく。』戦後、うちなーんちゅ(沖縄人)にとってはアメリカーもやまとんちゅ(日本人)も敵だった。憎しみを乗り越えて、エドというアメリカーとつながろうとした芸術家たちは本当に強いと感じる.↓↓↓
2014/08/24
ダイ@2019.11.2~一時休止
終戦直後の沖縄でのアメリカの医者と沖縄の芸術家の出会い。実話をベースにしたフィクション?。原田さんらしい芸術を絡めたイイ話だった。
2015/03/05
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