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テミスの剣

テミスの剣

テミスの剣

作家
中山七里
出版社
文藝春秋
発売日
2014-10-24
ISBN
9784163901497
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テミスの剣 / 感想・レビュー

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サム・ミイラ

つくづく幅の広い作家だと思う。ドビュッシーともカエル男とも違う作風に驚く。過去の冤罪にひたすら背を向ける警察組織。そして起こる新たな殺人事件。骨太な社会派小説の趣き。だが横山秀夫や相場英雄などとは似て非なる作品だと思う。それはやはりミステリを主と考えどんでん返しの展開に力を注いでいるからだろう。それ故冤罪のメカニズムを問う重い問題提起の書とはならなかった。マスコミへのスタンスが非常にネガティブなのはこの作者の特徴か。真の黒幕がカエル男のパターンに重なり読めてしまうのは残念だが他の作品への興味がわいてきた。

2017/08/28

ウッディ

夫婦強盗殺人事件の容疑者を過酷な取り調べと捏造した証拠で有罪にし、獄中で自死させた刑事、検察そして裁判所。別の事件で逮捕された犯人の自白により、それが冤罪であったことがわかる。冤罪をテーマにし、渡瀬刑事の苦悩とその後の正義の貫き方を描くとともに、過去の事件に端を発する新たな殺人事件の意外な犯人と渡瀬の告発を後押しした人物の関与というどんでん返しまで用意されるという中身の濃い一冊でした。ただ、冤罪被害者の家族が、刑事や検察を恨むのはわかるが、真犯人に憎しみを持つのか疑問が残った。とはいえ、面白かったです。

2019/11/13

takaC

中山作品は何作か読んでいるが系統立てて読んでいるわけではないため「ああ、これはあの誰某ね」的な楽しみ方が自分は充分に味わえなかったが、きっと愛読者には堪らない一冊なんでしょうね。それは脇に置いておいても、綴られた物語自体の完成度も高く、満足できる内容だった。しかし、最後に「この物語はフィクションであり、云々」とはあるものの、現実に十分ありそうな怖い話だと思えてしまう。

2015/09/13

冴子

中山作品のレギュラー渡瀬警部の若かりし頃、起こしてしまった冤罪事件と、被疑者の死。そして数年後に判った真犯人。23年後の彼の死。永きに亘って真実を明らかにすることへの警察内部の葛藤。重いテーマをしっかりとした筆致で畳み掛けるように描かれた作品だった。犬養や古手川もちょっと出演してて嬉しかった。「静おばあちゃん」の裁判官時代の静さんも重要な役を担っている。

2017/02/18

れみ

台風の夜に強盗殺人事件が発生し逮捕された男は無実を訴えるも死刑判決が確定し拘置所内で自殺後に真犯人が判明し冤罪が発覚。そして23年後新たな事件が…というお話。埼玉県警の刑事の鬼・渡瀬警部の若かりし頃と現在の両方が読めて大満足!同時期の別の事件とか脇役の人たちがメインの別のお話とか他の作品とのリンクが色々発見できるのも楽しい。それにしても冤罪は無実で捕まった人の生き死にに関係なくその本人はもちろんそれに関わった全ての人がなんらかの傷を負うというのがなんともやるせない。

2016/03/05

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