暗黒寓話集
暗黒寓話集 / 感想・レビュー
風眠
いろいろ、いろいろ、含みがありそうで、なさそうで。だから「寓話」なのかな。でも、「暗黒」というほどでもないな。『アイアン・ファミリー』『死都東京』『夢眠谷の秘密』『透明人間の夢』『名誉死民』『南部すたいる』『神の見えざる手』『CAの受難』・・・神さまの気まぐれに否応なく翻弄されてゆく人々。みんなどこか滑稽で、どうしようもなくって、だけど何か可愛げもあって。『世にも奇妙な物語』のような、うっかり別の世界に来ちゃいました的な、八つの短篇。硬質な文体の中に、どこか人をおちょくったような感じが見え隠れしている。
2015/03/28
リッツ
気がついたらジックリ入り込んで読んでいた。一度も躓かずに人生全うするなんて無いだろうと思うけど、大きな穴には堕ちたくないなぁ。
2018/08/29
starbro
最近の作品はかなりエンタメ化していますが、今回の短編集は初期の作品に近く懐かしく感じました。文学賞のメジャータイトル無冠のまま芥川賞選考委員まで登り詰めた島田雅彦大先生に直木賞や本屋大賞といったメジャーな賞を受賞させられる漢気のある出版社等は出てこないのでしょうか?村上春樹とある意味で同じ存在なのかな?
2014/12/09
ブルームーン
初読み作家さん。ちょっと不思議だったり、奇妙だったり、怖かったり、シュールだったりする短編集。文章がところどころ理屈っぽく感じる部分があり、読了に意外と時間が掛かってしまった。
2017/01/07
ふかborn
主人公が年配の男性であるのに現在の風俗を熟知していて、言葉の端々にユーモアがあるから凄く読みやすい。それが島田文学だと言われたらそれまでだけど、その知識の広さが主人公を主張の薄い平べったい人物に見せてしまう。でも、ほとんどは島田雅彦本人の投影だよね。「アイアン」「死都」「夢眠谷」「南部」は主人公が語る年代記。「透明」「名誉」「CA」は生者が死者の様。あとイデオロギーも秘められているけれど文字数減の為、割愛。「神の」は、そもそも神の存在が明確であるか、信じていなければ成り立たないナンセンスさが可笑しかった。
2015/05/11
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