ナナフシ
ナナフシ / 感想・レビュー
あすなろ
幸田氏のオトナなビター・ファンタジー。そんな感想。あり得ない設定とならではの金融界と雑学的内容を組み合わせている。しかし、幸田氏の作品はラストが清々しいので好きである。本作でもそれは裏切られない。そして、知らない知識も平易に教えられる。昆虫ななふしを喩えに使い、縁なき女性と共に強く生きていこうとする姿は、あり得ない設定だということは言えても読み進める手は止まることはなかった。
2015/09/10
いたろう
仕事も家族も失ってどん底の生活を送る中年男と夢半ばで希望を失った女性が出会って始まる新しい生活。緻密な金融・経済小説を多く書いてきた真音さんだが、本作は主人公の仕事として金融の世界が出てくるものの経済小説ではない。とは言え、帯に書かれた「初の人間ドラマ」と言うのはどうなのだろう。今までの作品も、経済を主体にしながら、そこに人間ドラマがあったのでは? 本作は真音さんらしい経済のテーマがない分、オリジナリティに乏しい作品に。是非また真音さんにしか書けないような高度な経済知識をエンタメに昇華した小説が読みたい。
2015/09/12
123
粗筋を読んだ際は、一度挫折したエリート金融マンが、とある女性のため、金融業界で派手な大立回りをする物語だと期待。そう『ハゲタカ』シリーズの鷲津のような活躍を。だけど、主人公はエリー トだったかもしれないが、ドーナツ屋に失敗する等、ちょっと小粒な印象。そして、主人公の元に舞い込んだ女性の謎も、聞くとふ~んといった程度の感じか。また、その女性を昆虫のナナフシに例えるセンスは如何か。最後の再生に繋がる重要な暗喩とは言え、やっぱりナナフシはないでしょ。とは言いつつも、これはこれで良かったけど。
2015/04/13
Yunemo
人間の強さって何?と問い詰められ、状況設定に拘らずに読了。金で地獄を見た人間が立ち直れるの、最低限の世界で生き続けられるの。何だか本作品、金融・経済の第一人者である著者からのメッセージとして受け止められます。金にまつわる物欲の前にひれ伏してしまうのが人間、孤独のままで生きていけないのが人間、「傷」で表現された世界。でも、今回はあくまでヒューマンドラマとして最後まで。人間の強さと弱さと、孤独の苦しさが遺憾なく表現されてます。相対して、夢と大切な人さえいれば生まれ変われるんだ、補いながらの二人に何だか憧れ。
2015/03/08
ちょん
お金に縛られた中年の主人公と若い音楽家が出会い、困難に立ち向かっていく話。とてもわかりやすく、すっと情景が浮かんできた。過去の過ちに苦しめられている主人公が少女によって生きる力を持っていく過程が良かった〜
2016/01/10
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