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革命前夜

革命前夜

革命前夜

作家
須賀しのぶ
出版社
文藝春秋
発売日
2015-03-27
ISBN
9784163902319
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革命前夜 / 感想・レビュー

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いつでも母さん

『ピアノの森』が頭にあったのだがぶっ飛んだ。音楽、ピアノ?ヴァイオリン?こりゃリタイアかなと思った自分が恥ずかしい。そうだ『DDR』オリンピックの時に認識していた強い国。その崩壊前の国と民衆の熱。「この国の人間関係は互いに監視しあって密告するか、しないかよ」平和ボケ日本人にはわからないが、当時東ドイツにいた者には(それが音楽の為であれ)強烈だっただろう。後半はドンドン『熱』を感じて一気に読了した。音楽の事等私には分からないが、ラカトシュの強さには憧れる。マヤマとクルスタの為に届いた『革命前夜』に感動だ。

2016/03/04

修一朗

計画経済下では効率最優先のため,街の中心に石炭発電所とボイラーが鎮座して各所にエネルギー供給を行う。煤で薄汚れた音楽都市ドレスデンは社会主義の象徴だ。現在中東からの難民を続々と受け入れているドイツ。30年前までは難民を発生させていた国だったという史実を我々はもう忘れかけている。クラシックの曲がそれはたくさん出てくるので,聴きながら読むのは大変だったけれどもバッハをたっぷりと堪能できた。東ドイツの最末期に音楽留学した学生の視点でベルリンの壁が崩壊する直前を緊張感もって描く力作だ。

2017/04/29

KAZOO

この作者は初めてです。内容はほとんど違うのですが、連城三紀彦の「黄昏のベルリン」を思い出しました。ベルリンの壁が崩壊する前のことで、ドレスデンに音楽留学する主人公とそこにいる様々な人物たちとのやり取りをミステリータッチで描いてくれます。むかし東ベルリンに入ったことがあるので雰囲気をなつかしく感じました。主人公がピアニストで様々な音楽的な話も出てくるのでさらに楽しめました。

2019/03/02

なゆ

日本がバブルに沸いて昭和が平成に変わった頃は、まだドイツは東西に分かれてたんだ…と、忘れかけてたことに驚く。東ドイツ(DDR)にピアノ留学した眞山柊史(シュウ)の目に映る、美しい音楽を誇りにしながらも閉塞感と灰色の街ドレスデン。北朝鮮やベトナム、ハンガリーなどからの才能あふれる留学生たちとの交流や演奏も読ませるが、DDRという国の内部からも周辺諸国からもにじむ、変わる気配に目が離せなくなる。誰が密告者かわからない社会はこわい。この本で、ベルリンの壁崩壊の意味をやっと知れた気がする。それとバッハの良さも。

2018/02/14

あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...

須賀作品を読むのは『神の棘』以来の2作目。ベルリンの壁崩壊前のDDR(東ドイツ)を舞台に、音楽の世界で切磋琢磨する若者達を通して、自由を制限された薄暗い管理社会という靄の掛かったような時代を抑制の効いた筆致で描いています。「革命前夜」とも言える、時代が正に変わろうといているとき、密告やすれ違い、裏切りが支配する中、最後にそこにあったのは友情だったんだなと。須賀さんには今回もやられた感じです。

2018/05/22

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