プロローグ
プロローグ / 感想・レビュー
harass
まさに、プロローグ。小説家が小説を書くことのアナロジーのようでもあり、マジな創世記でもある。ここまで自意識過剰な小説=語りの世界は頭がくらくらする。トリビアな知識のフレーズやくすぐりににやにやしながら読んでいくが、後半、混沌に満ちた展開についていけなくなる。ラストあたりで明かされる真実に、著者がこの作品のことをSFと言っていたのをようやく思い出した。こういうことが書けるような作家が芥川賞を取るとは時代が変わったなあと実感。知的興奮にあふれた実験作。対になっているらしい『エピローグ』を読みたい。
2016/04/30
そうたそ
★★☆☆☆ 最近の「シャッフル航法」なんかは、割と分かりやすかったのだが、これは円城さんの本領発揮というか、個人的には難解すぎた一作。「エピローグ」はコテコテのSFっぽくてスルーしたのだが、本作はその「エピローグ」にも連なる作品でもあるとのこと。そもそもあらすじに書かれていることが分からないという作品もなかなかないと思うのだが、本作はまさにそんな感じ。円城さんが小説を書く上での頭の中を覗いているような感じにさせられる作品であり、そういう意味では興味深い。わからないなりに楽しむべき作品なのかも。
2016/02/27
R
本人が私小説だと書いているのでそうなんだと思いたい。そう考えると、内容の半分くらいはスクリプトが自動生成したんじゃないかと疑いたくなるような、難解というか、理解しようという努力をあざ笑うような一冊でした。小説とは何かということに、哲学や、数学、物理学をひっかけつつ形而上的にどうしたこうしたといった、思索の跡を辿ることができるのだけども、作者と同程度の思考能力がないと、理解が遠い本でした。ところどころに挟まる、投げやりな冗句というか、愚痴めいたものは笑えたんだけどなぁ。
2016/02/17
えも
読むのに時間がかかり、結果としてプロローグが今年のエピローグに。それにしてもさすが円城さん。小説が遂に小説自身を語り始めたといった感じの実験的小説で、相当難解な、というかめちゃくちゃな内容にも関わらず、何か楽しく読めてしまいました。
2015/12/31
ぎん
『エピローグ』を読んだ人には、この小説を読み進めるうちに知っている名前が出てくることだろう。しかしそれはまだ物語とは言い難く、その見知った名前すら自分の知るそれであるか判断できない。そこにあるのはただ”文字”の織り成す宇宙であり、「”あるいは文字が、地面から見上げる。”」瞬間そのものかもしれない。それは奇跡か、はたまた必然か。一見物語とは関係の無い話のように見えて、しかし物語で無いのならば、そこに意味を見い出しまうのは私達読者であり、それすらも”彼ら”には御見通しであった。これは『プロローグ』に過ぎない。
2015/12/30
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