橋を渡る
橋を渡る / 感想・レビュー
starbro
吉田修一は新作中心に読んでいる作家です。ノンフィクションですが、現実の事件を盛り込んでいるため、フィクションのようなイメージでした。3章まで快調に飛ばし、どう展開するかと思ったら、何故かSFちっくに70年後の未来にタイムスリップしてしまいました。70年後の必然性は感じられず、著者の意図は今一不明ですが、何となく終息しました。これが「橋を渡る」ということなのかなぁ?
2016/04/13
ミカママ
これは...私たちファンの理解力を検査するリトマス試験紙?と思いつつ読了。主人公たちの苦悩や心の襞が、痛いほど私には伝わってきたよ。冬編の「サイン」…イシグロ氏の『わたしを離さないで』がちらついて、胸を締めつけられた。そんな中で、伏線がどんどん回収されていくさまはお見事。タイトルの「橋」、私の中ではライトアップされた「レインボーブリッジ」、その景色の中で翻弄される主人公たちに寄り添いながら、吉田修一さま的世界を楽しませていただきました。さぁ、次はどんな作品で私たちを試してくれるのか?
2016/07/17
まちゃ
春、夏、秋、冬の4部構成で、三人の主人公が登場します。三つの物語に仕込まれた伏線が、最終章で一気につながっていく展開に圧倒されました。先の展開が気になって一気読みでした。「あの時に変えればよかったと誰もが思う。でも今変えようとしない」という登場人物の言葉に未来を決める決意と行動の意味について考えさせられました。吉田さんらしい楽しい作品でした。
2016/07/30
hiro
一章から三章は、東京都議会でのセクハラやじなど、2014年に実際に起こったことが登場し、語り手が変わりながら三つの話が進む。しかし、この三章まで読み終えるのに時間がかかった。そして四章は、一気に70年後の時代にとんで、三章までの話がリンクして進む。現在とつながっている70年後の世界は、現代からみてはいい方向に進んだ世界なのか、それとも悪くなった世界なのかを否応なしに考えさせられ、この本にも登場するマララさんの国連演説「1人の子ども、1人の教師、 1冊の本、1本のペンでも世界を変えられる」が重く感じられた。
2016/04/24
yu
Kindleにて読了。 3つのお話しが最後にはつながっていく。 それも、70年後を経て。なんとも不思議な読了感。それでいて、妙な人間の持つ感性がじわじわと滲み出てくる感覚。不思議なリアリズムを感じる。それぞれの物語の主人公に共通するものは「正しさ」の定義のように思える。吉田さんの作品が生み出す世界は、やっぱり凄い。 ちょっと、森博嗣さんの作品にも通じるものがあるような気がした。ウォーカロン≒サイン、みたいな。
2016/08/07
感想・レビューをもっと見る