大岩壁
大岩壁 / 感想・レビュー
あすなろ
宇宙に一番近い場所まで自分の手足で登る。その間、いわれのない疑惑とも闘う。つまり己とも闘う。しかし、それよりも極限に追い込まれ、命を懸ける程の価値があるのかと自らに問う。答えられぬ。希薄な大気が思考を拡散させる。喘ぎ苦しみ、それでもひたすら前に進むことが、今この時間を生きていることが、その答えだと言うしかない。こんなことを僕も一緒に鼓動昂ぶる変わらずの笹本氏山岳小説を堪能しました。但し、いつもより若干、昂り少なかったかな?
2016/06/12
ちょき
山岳もの第三弾。そうこれ!まさに「こんな山岳小説が読みたかった」。ナンガ・パルバット。遭難者が多いことから「人食い山」と呼ばれているらしい。冬季未踏の頂に挑む3人の日本人クライマーは、酸素ボンベ無し、少人数、軽装でのアルパインスタイルで登っていく。ロシアチームとの初登頂争いの中、ストーリーの核心を担う問題児が一人。襲いかかってくる雪崩。足をかける岩一つの描写にさえ緊迫感が宿る。最終ページまで何が起こるかわからず、ドキドキした展開が続いた。読み応え十二分。山好きの読書家さんには絶賛おすすめしたい。
2016/08/21
ゆみねこ
ヒマラヤ、ナンガ・パルバッド。5年前登頂目前に気候の急変で断念し、下山途中の事故で一人の命を失ったその山の頂を、再び目指した立原。亡き友の弟がメンバーに加わるが…。登山経験のない私も、ハラハラドキドキのスリリングな展開。一気に読破しました。晴彦の身勝手さに何だか不完全燃焼でした。
2016/08/01
キムチ
久しぶりの一気読み。もっとも好きなジャンルということもありぃ。筆者お得意の山岳ノベル。女は交えず、オトコのプライドをかけた氷雪岩稜での一騎打ち。してみると筆者のこの類は常に死を前提としている。クライミング自体、死を想定内に入れた唯一のスポーツだと書いてある文章をどこかで読んだ記憶が。ラストの盛り上がりは(個人的に)壮絶!最後の1頁まで気が入る。作中「ヒマラヤ山中には今でも数百の死体が放置されており・・」の下りはぐぐっ。マロニー卿の例然り。舞台となるナンガ・パルパットも2つの遺体を含めどれだけ飲み込んだか!
2016/06/07
Yuna Ioki☆
1487-183-14 何故彼らは命をかけて山に登るのだろう。登頂できるのかどうかラストまでハラハラのしどうしだった。兄の死後の晴彦は兄の思いをとげるためだけの人生だったのは哀しすぎる。
2016/06/07
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