トコとミコ
トコとミコ / 感想・レビュー
モルク
6歳でイギリスから帰国した伯爵令嬢のトコとその家の使用人の娘ミコの小学校入学前から90余年に渡る人生を描く。婿をとることを前提に姫として育つトコに憧れを抱きつつ、向上心をもって己の才能を開花させ華々しく活躍していくミコ。華族制度廃止により経済的に窮地に陥ったトコをミコが支える。しかしその裏で嫉妬し陥れようとすることも。戦中、戦後、バブル崩壊と力強く生き抜いた彼女たち、そしてその絆の素晴らしさ、一気読みだった。
2018/09/26
taiko
六苑伯爵家の令嬢燈子と、そのお相手として選ばれた職員の娘美桜子。二人の90年に渡る物語。…女の一代記は大好物。今回は2人の話なので更にワクワクしながら読みました。昭和初期から平成まで、時代によって伯爵家が衰退し、それぞれの暮らしぶりも変わっていく。美桜子は実業家としてその実力を発揮し、燈子は美桜子に支えられながら品位を失う事無く暮らして行く。そんな2人だったからこそ、晩年の20年がとても残念。橙子の広い心に気づいていれば、美桜子は1人でいないで済んだかもと思ってしまいます。その年月が美桜子には必要だった
2019/05/30
風眠
「世が世ならお姫様だった」よく聞いたり本で読んだりするが、先の大戦で廃止された華族制度とは具体的にはどういうもので、どんな暮らし方だったのかまでは知らなかった。華族ってほとんど時代劇で見るような、大名みたいな存在だったのだなと勉強になった。家臣の生活を守ること、それを遂行すること、そういう重責を背負う身分が、華族。名門・六苑伯爵家令嬢の橙子と、使用人の娘・美桜子。「トコちゃま」「ミコ」と呼び合う二人の女性の目線から、90年におよぶ運命と歴史の栄枯盛衰が語られる。駆け足すぎて物語に深みがなかったのがが残念。
2017/07/01
ゆみねこ
昭和2年、六苑伯爵家令嬢の燈子と使用人の娘美桜子は出会う。英国生まれの令嬢に日本語を教えることを目的に、遊び相手として。戦中・戦後、米軍による接収や華族制度の廃止、二人を取り巻く環境の変化。ミコの賢さと逞しさ、トコのしなやかさと芯の強さ。ラストも素晴らしく、素敵な1冊でした。
2016/12/13
ねむねむあくび♪
図書館の本。昨日に続いての山口作品。『早春賦』は一人で闘い抜く財閥のお嬢様の話だったが、本作はお嬢様の燈子と使用人の娘、美桜子の 二人の女性の生涯を描いた作品。おっとりとした執着心の薄い美女、燈子と、バイタリティに溢れる行動的で野心家の美桜子。波瀾万丈の時代を生き抜いた二人は、どちらの生き方も魅力的でずっしりと面白かった!残念なのは 表紙。アンニュイ過ぎて、作品とミスマッチ。作中のイギリス刺繍とか、クラシカルな六苑伯爵家の屋敷など似合う題材は沢山ある。この話なら女性の表情も凛としたものであって欲しかった。
2017/10/23
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