出会いなおし
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出会いなおし / 感想・レビュー
starbro
森絵都は、新作中心に読んでいる作家です。昨年読んだ傑作『みかづき』とは、テイストが異なりますが、佳作揃いの短編集でした。オススメは表題作の『出会いなおし』とカブ料理満載の『カブとセロリの塩昆布サラダ』です。
2017/03/27
ウッディ
再会ではなく、出会いなおし‥かつて仕事を共にし、プロのイラストレーターとしての自信を与えてくれた編集者との再会を描いた表題作を含む短編集。主婦の矜持が、デパートの惣菜店の店長の心を動かす「カブとセロリの塩昆布サラダ」、同窓会で小学生の頃の辛い思い出と向き合う「むすびめ」が、いずれも心地良いラストで、面白かった。ストーリー自体よりも森絵都さんの優しく、丁寧な文章と心の機微の描き方を楽しめた一冊でした。長編も面白いけど、春の気配のする休日に読むのにピッタリな物語を集めた短編集でした。
2018/02/25
zero1
地味なようでいて、技が光る。6つの短編で構成された一冊なのだが、作者が描きたいものがここにある。表題作は別れが終わりを意味しないことを示している。「カブとセロリの塩昆布サラダ」に人間描写できるのは流石。共感する読者が多そう。「ママ」はムーミンを絡めた追憶。「むすびめ」は重松が描きそうなテーマ。30人31脚の苦い思い出を払拭できるか?「テールライト」は311を連想するパラレルワールド。「青空」は交通事故での【走馬燈】。森は児童文学だけでない、純文学の世界でも非凡な才能を見せた。読んで損のない作品たち。
2020/01/09
風眠
人生の局面ごとに必ず出会う、男女の関係とはまた違う同志のような人。カブか大根か問題で、主婦の意地をかけた店員との攻防戦。本当に必要としている人の前にだけ現れる、哀しみを受け止めてくれるママ。足首を紐で結び30人31脚に挑戦した小学生の頃と、一人で歩いている大人になったそれぞれの今。求めても、一緒には生きてはゆけぬ魂と魂の輪廻転生。高速道路で事故に遭う数秒間の、父親の心の動き。カラリとした文章の中に漂う、切なさの匙加減。緊張と笑いの絶妙なバランス。そして短篇とは思えないスケールの大きさ。まさに珠玉の6篇。
2017/07/03
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
人生の大切なものが詰まった六つの物語。 個人的には『出会いなおし』『カブとセロリの塩昆布サラダ』『むすびめ』が好きだった。 「人は会うたびに知らない顔を見せ、立体的になる」なんて的を射た言葉だろう。だからこそ表題作がかなり良かったように思う。
2018/03/29
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