鮪立の海
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鮪立の海 / 感想・レビュー
starbro
熊谷達也は、新作中心に読んでいる作家です。400P強、一気読みしました。カツオ・マグロ漁師、海の男の青春・恋愛譚、地味な作品ですが読み応えのある佳作です。本作の舞台となっている気仙沼漁港は、震災からどの程度復活しているのでしょうか?
2017/05/06
あすなろ
熊谷氏の海洋サーガ小説と呼ばれている作品を初読了。思ったより静かというか静かにヒタヒタと情熱が伝わる作品だと思った。僕が違う感覚を勝手に抱いていたからなのか。決して作品は悪くない。否、面白かった。海洋冒険譚や恋愛や戦後復興経済が上手く配列され主人公が魅力的あれば面白いとくる。戦争中の徴用船の件や、戦後の復興金融公庫の話は知らなく、興味深かった。さて、読了後、1番?心に残るのは守一と同様に焦がれて成就しなかった真知子のことなのである。ちょっと焦がれさせ過ぎで守一が可哀想だと思ったのは蛇足ですかね。
2017/06/07
naoっぴ
なんとも清々しい読後感。仙河海町を舞台に、名うてのカツオ漁師の父をもつ守一の半生が描かれる。戦時中は漁船も海軍に徴用され、漁師たちも船の上で戦いに参加していたことや戦後の食糧難による闇魚売りなど、戦争に否応なく巻き込まれた漁師たちの姿は切ないものがあった。終戦後、そんなどん底から立ち上がっていく守一たちの姿は力強く、恋の悩みや友情の絆も実に爽やかでぐいぐいと読まされ気づけば一気読み。潮と魚の匂い、波と漁船のエンジン音や船の揺れまでも感じられたひたむきで熱い漁師の成長物語だった。
2018/02/24
ゆみねこ
面白くて一気に読了!大正14年、仙河海に生まれた菊田守一。名船頭の父や兄を追いカツオ・マグロの漁船に乗る。戦時の思うままにならない状況、戦後の混乱期。征治郎との友情や、恋。守一の成長譚としても素晴らしい。あの、菅原甚兵衛も登場する。仙河海の歴史・成り立ちもよく理解出来ます。
2017/04/24
のぶ
熊谷さんの定番、仙河海のシリーズ。今回は大正14年に漁師一家に生まれた菊田守一の半世紀。幼少期から船頭として活躍していた、祖父や父を見ながら、いつか船頭になることを夢見て毎日を過ごす。この守一という男が極めて真面目な男で、こんな人物の話は退屈してしまうことが多いが、決して飽きる事なく描かれていて、文章も奇をてらったところがない。兵役を終え、新たな時代を鮪漁師として生きていく守一にどんな将来が待っているのか?応援せずにはいられなかった。途中に挿入される真知子との恋愛談が、真面目な話に花を添えていた。
2017/05/23
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