あのころ、早稲田で
あのころ、早稲田で / 感想・レビュー
とくけんちょ
1960年代の思い出話。とんでもなく日本全体がエネルギッシュだった時代。私は、まだ影も形もない。よって、あのころとはいえず、そのころなのだが、その思い出に触れるだけで羨ましい気持ちになれる。方向性の違いはあれ、誰もが精一杯生きていた時代。憧れるだけじゃダメなのはわかるのだが
2020/05/31
SOHSA
《図書館本》コラムニスト中野翠の早大学生時代のエッセイ。するすると真水を飲むように読み終えた。描かれているのは60年代半ばから終盤にかけての景色だから、私よりも半世代ほど上の世代だ。大学生が良い意味でも悪い意味でも大学生であった最後の時代だろう。当時の早稲田大学の内と外が作者の眼を通して鮮やかに甦っている。過ぎた日々はやはり戻らない。戻らないからこそ、輝いていたひとコマがいつまでも人の記憶に残る。作者の学生時代を辿りながらいつのまにか私も自らの学生時代を辿っていた。
2018/09/01
もりくに
コラムとエッセイの違いがよくわからないが、「私が・・」「私が・・」と何ら「自己批評性」のない身辺雑記を書き散らしている輩が多い中で、中野翠さんは数少ない「自己批評性」を持った書き手だ。その彼女が信頼している編集者から、「大学時代の話、書きませんか。」と言われ、当初は間髪を入れず断ったが、徐々に心の中に波紋を広げ、この本となった。1965年から1968年までの4年間。「60年代の入り口と出口では全然違う」と村上春樹さんが言う「出口」の時代。彼女は「立派な左翼」になりたくて、「社研」(社会科学研究会)に入る。
2018/07/20
阿部義彦
私の敬愛するするコラムニスト、中野翠さんの秘められしというか今まで敢えて避けてきた早稲田大学時代を1965年から68年の編年体で刻んだクロニクル。学生運動よりも、社研として文研と同じ部室で過ごした人間関係、あの呉智英も本名、新崎智として登場そしてあのころ、夢中になった文化(横尾忠則、つげ義春、ドグラ・マグラ、帰ってきた酔っ払い、3億円事件、浅間山荘、ダッカ事件etc)が著者所有のミニコミ誌や写真により詳らかに。高校卒業間際なんて結構美人!表紙イラストが、佐々木マキさんで本人の許可がでたのが凄い。是非是非
2017/05/10
Kei
著者のファンなので読みました。早稲田にも学生運動にも関心はありません。ただ、あの世代特有の左翼の空気感は少し理解できたような気がします。有名無名を問わず、様々な人物との交流に加え、政治や文学、映画、当時の東京のカルチャーがよくわかります。末の早稲田近辺の探訪もおもしろい。キャンパスは変わらないようで変わります。私も学生時代は、喫茶店病にかかっていたので、シンパシー。著者が感じる今の学生達との違和感も、時代ですね。
2017/07/15
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