チャップリン暗殺指令
チャップリン暗殺指令 / 感想・レビュー
しんごろ
土橋章宏さんは歴史の隙間をつっつくというか、歴史の謎の部分をちょっと埋めてみるというか、そんなのが上手いなあ。そして、相変わらずの臨場感たっぷりの読みやすさ!時間があれば一気読み間違いなしです。今回は5.15事件が舞台。事実が元だから、ぐいぐい引きこまれる。新吉の揺れる若き心、葛藤についつい感情が入ってしまう。感情移入してしまったために、ラストは当然、涙。
2018/08/05
starbro
書店で気になって、図書館に予約して読みました。土橋章宏、初読です。史実に基づいたミステリ、250P超一気読み、終戦記念日(敗戦の日)に相応しい一冊でした。チャップリンのオマージュ小説、彼の偉大さを改めて認識しました。北朝鮮情勢でキナ臭い今日この頃ですが、改めて”NoMoreWar!Love&Peace”
2017/08/15
ゆみねこ
チャップリンが5.15事件のとき来日していて、帝国ホテルに宿泊していた。犬養毅首相暗殺と同時にチャップリンに対する暗殺指令が!命じられた若手の士官学校生・新吉は、田舎から出てきた世間知らずの若者。史実とフィクションを上手く絡ませて、一気に読ませます。いい加減でホラ吹きの役者・柳が、一番世の中の実情を見抜いていて、最後は見直しました。
2017/08/09
Bugsy Malone
チャップリン暗殺を命令された青年新吉は革命と信じ突き進む。その過程で人の心に触れ、チャップリンに出会った新吉は思想に揺らぎを覚え自ら考える事の意味におののく。フィクションではあるが、この事件を境に軍部主導政治になり大東亜戦争に向かっていったことは事実であると思う。そこには当初の新吉の様に考える事を放棄し人の意見を鵜呑みにしてしまう事に対する怖さがある。それは決して過去の話ではなくSNSが盛んな今日こそ当てはまる怖さだ。様々な人々の意見を聴き自らも考え抜くこと。ついつい同調してしまう事ほど恐ろしい。
2020/05/31
優希
面白かったです。題材はシビアながらも読みやすい作品でした。5.5事件に巻き込まれる青年の姿。チャップリンへの暗殺計画。そんな想いがチャップリンの境遇や他者への接し方を見ているうちに考えが変わるのが印象的でした。信じていたものが狂い、軽蔑していたものが尊敬できる考え方の変化は、軽蔑が尊敬に変わると言えるでしょう。最後が切ない終わり方でじんわりきます。
2019/07/15
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