嵯峨野花譜
嵯峨野花譜 / 感想・レビュー
starbro
8月の一作目は、葉室麟の最新作です。著者ならではの大変渋い作品、活花、華道を極める仏僧の物語を他に書く作家がいるでしょうか?連作短編集、オススメは弟を想う姉の気持ちが悲しい『利休の椿』、武家社会の処世術が垣間見える『祇王の舞』です。禁欲生活の中、女性的な活花の道を突き進むと、衆道につながるのかも知れません。
2017/08/01
初美マリン
清々しいの一言、本人も周囲も。作中にある未生流も少し習ったので、興味深く、更に山県大弐という人は、あまり知られていないが早く生まれすぎたといわれる尊皇家、我が家から歩いてすぐのところに神社があるので更に親しみを覚えた。
2019/02/20
優希
面白かったです。活け花を通じて成長していく少年僧を連作短編で描いていました。出てくる花の美しさを想像するのが心地良かったです。静かに物語に身を委ねる感覚を味わいました。気持ちが豊かになる時代小説だと思います。
2021/03/12
それいゆ
京都を舞台にした華道の話だけあって文章が繊細で心が洗われる気分になれました。短編集なので途中のお気に入りの話を拾いながら読もうとしたのですが、読んでいるうちに話が続いているということが分かり、最初から読み直しました。そういう設定なのですが、少年僧・胤舜ゆかりの人たちが次々と登場して楽しく読むことができました。それぞれの章の冒頭に出てくる花のイラストが紹介されていますが、最後に胤舜が実際に活けた花を描いてほしかったです。文だけでは、なかなかイメージがわいてきません。
2017/08/04
タイ子
清々しいという感想。ひとえに主人公の少年僧・胤舜の活花に対する気持ちと全編を通じて種類の違った花々が登場するせいかもしれない。だけど、物語自体は決して清々しいものではなく、胤舜がお寺に預けられる以前に背負ってしまった宿命が徐々に明かされていったり、父親と母親の間で苦しむ姿が哀しくも切なく胸を打つ。 寺男の源助が胤舜を守る姿もカッコ良くて胤舜の静と源助の動がとても心地いい。 どんな人生であろうとも自分の中に花がある限り咲かせてみたい、そんな人生でありたいと思う。
2017/11/11
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