風に恋う
風に恋う / 感想・レビュー
ウッディ
かつては高校日本一になったが、今は見る影もない千学吹奏楽部。黄金時代の部長だった瑛太郎がコーチになり、緩んだ雰囲気を一掃するため新入部員の基を部長に指名し、全国大会を目指す。若者たちがが一つの目標に向かってひたむきに取り組む姿は清清しく、忘れていた熱い気持ちを思い出しました。ただの熱血部活小説に終わらず、学業と部活の両立、音楽への情熱と理想とする演奏とのギャップ、栄光と挫折などを描くことで、物語に厚みがあり、音楽が見えるような額賀さんの文章に魅了され、風に恋うというタイトルも素敵。とっても面白かったです。
2019/01/10
寂しがり屋の狼さん
全日本吹奏楽コンクール。中学の三年間を吹奏楽に捧げその舞台に立つことが出来なかった主人公の『茶園 基』は高校では吹奏楽をやめるつもりでいた。しかし入学式の日、伝説の人物との出会いから吹奏楽部への入部を決め幼馴染みで現部長の『玲於奈』とともに全国への出場を目指す。単なる部活物の青春物語ではなく、自分の将来や大学受験と部活動との両立など吹奏楽で全国を目指す高校生の葛藤や練習時間の確保の過酷さ、油断すればオーディションで落とされる残酷さなどが描かれており全国の舞台に立つことの難しさ伝わる作品。🎷🎼
2019/04/14
のっち♬
コンクールを目指す低迷中の高校吹奏楽部の一年生部長と元部員のコーチの視点を交錯させながら物語は進む。「やりたいことをやるって、難しいんだよな」—部員もコーチもそれぞれ人生に悩みを抱えつつも、バラバラの人間が同じ方向を向いて真摯に打ち込む姿は清々しい。ブラック部活動や受験勉強との両立などの問題が扱われるが、登場人物に人間臭さがあまり感じられず、そのために世界観の広がりや展開の盛り上がりがなくなり、全体に平坦な仕上がりになっている。読後は爽やかな風が心地よく吹いてくるような、健全でストレートな成長ドラマだ。
2020/08/30
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
今年の読書納め。『屋上のウインドノーツ』以来の吹奏楽ものだったけど、額賀さんはほんとに問題事を織り交ぜるのがうまいなと。ずっと音楽をやっていたい、でもそれだけじゃいけない。現実ときちんと向き合わせつつ、話を創っている。我々はふつう、言葉で笑ったり泣いたりするものだけど、彼らは音楽で笑ったり泣いたり、時にはぶつかりあったりもする。吹奏楽をやっている者のアツさを肌で感じました。やっぱり好きです。
2018/12/30
いつでも母さん
『高校時代が一番輝いていた』いいじゃないですか!そんな思いを経験しただけで人生は素晴らしい。打ち込めるモノが事が有るのは得難いのです。「ぶつかり合うから音楽は輝くんだ。仲良しこよしじゃなくて、戦って、たくさんの敗者が出て、そうやって磨かれていくんだ」と言わす額賀さんの熱に煽られて一気に読みました。寝不足です。楽器など出来ない。コンクールの曲など知らない。『ダメ金』は聞いたことがある。あっという間にここの吹部に漂う空気となって最後まで基のまわりにまとわりついていました。がんばれ若者!青春だー!お薦めです。
2018/08/12
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